そんなわけでさっそく声をかけます。「ねえねえ、これさ、もし良かったらチェックお願いできないかな…」しかし彼はいつ通りのテンションで「へー」と答えたっきりスルーします。
そもそも以前、一緒にクリニックでの精液検査を頼んでみたら、「子どもは授かりものだから、そういうのは今はいらんでしょう」とやんわり断ってきた人です。今回も同じような理由で断れられることは想定済み。
とはいえ、6000円近くするセットを捨てるには忍びない。そこで男性側への協力要請を他の家庭はどうしているのか聞いてみたところ「きちんと対面して話し合う。それでダメなら離婚」「とにかくなぜ大事かをひたすら説明する」「まずは向こうの温度が上がるまでは“お願い”を聞いてもらう立場に甘んじる」などなど、けっこー直球勝負な回答をもらっていました。ということで仏くんに珍しく頭を下げ「あの…これはこういう理由なんです」と説明を始めます。
ちなみに殺し文句は「取材でね、これの信憑性を確かめたくて、どうしても結果を知りたいの」です。
仏くんは非常に仕事に理解を示すタイプで、「仕事で必要」という理由がつけば大体のことは協力してくれる人なのです(でも出来上がったものは読んでくれないけど)。
今回も仕事でね~の殺し文句を出したところ「うーん、どうしても知りたいの?」とモゴモゴしながらも受け取ってくれました。ホッ。
「もし嫌なら、病院で検査するか、どっちがいいか選んでね」と図々しく釘を刺してこの会話は終わりました。
が、そこから数週間。彼に検査キットの提出を確認すると「まだ出してないや」の一言が。
うう…頼むよ…と落胆しつつ、まあ急ぐものでもありません。強いていうなら、この連載のネタが増えないから急いで欲しいという気持ちもありますが…なーんて鬼のようなことを考えつつも、仏くんが精液検査をしてくれるなら、私も卵管造影検査くらいはしなくちゃな…とぼんやり思うのでした。
子作りへの熱量は上がらないけど、上がらないなりにやることはやろう。
気づけば秋の入り口。なんとなく子どもが欲しいと思い始めてから、2年近くが経とうとしています。こんなに人生揺れて大丈夫なのか。自分の決意の弱さに、少し心細くなるのでした。
<文・イラスト/おおしまりえ>
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【おおしまりえ】
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。
ブログ・Twitter:
@utena0518おおしまりえ
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:
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