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ドラマ『黄昏流星群』に見る男の弱さ。夫が左遷された時、妻はどう反応すべき?

亀山早苗の不倫時評――ドラマ『黄昏流星群』の巻>  人生の折り返し地点で、“運命の人”に出会ってしまった――佐々木蔵之介、中山美穂、黒木瞳の豪華キャストで話題のドラマ『黄昏流星群』(たそがれりゅうせいぐん、フジテレビ、木曜夜10時~)が始まりました。
フジテレビ木曜劇場『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』

フジテレビ木曜劇場『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』※FOD公式サイトよりhttp://fod.fujitv.co.jp/s/genre/drama/ser4f78/

 背負うものがある“黄昏世代”の恋愛を描いた本作を、男女関係・不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

出世頭の銀行員に、とつぜん降りかかった災難

 主人公の瀧沢 完治(佐々木蔵之介)は勤続28年の銀行員で、妻・真璃子(中山美穂)と娘との3人暮らし。近いうち幹部になると自他ともに認めているエリート行員である。ところが自分を買ってくれていた常務がパワハラで失脚。他の役員から出向を打診される。山が好きだった彼は、休暇をとって翌日からひとりでスイスへ。家族には出張と偽っていた。  スイスで出会うのが目黒 栞(黒木瞳)だ。互いに名前も知らないままに惹かれ合う。ホテルが同じだったことから一緒に夕食をとるが、家族にも言えなかった「左遷されました」という言葉を、彼女にはさらりと言えてしまう自分に驚く。その後、部屋で飲み直そうと誘い、キスをしてしまうが……。  ドラマ第1話から、どこかいびつな夫婦関係が描かれている。娘は父が部下からネクタイをもらったことを知り、「コレは女の人が選んだんだよね」と不穏な発言をする。その言葉に反応する真璃子だが、夫を問いつめたりはしない。そんな母親に「おかあさんは、どうしておとうさんに遠慮ばかりしてるの? それって自分がラクだからよね」と言い放つ。  波風立てたくない。プライドを傷つけられたくない。夫はそれがゆえに妻に出向を告げられず、妻はそれがゆえに夫の心に一歩踏み込めない。「ラクをしたい」は若い娘がもつ男女関係への正義感なのかもしれない。

大事なことほど、妻には言えない?

 かつて、リストラされた夫とその妻たちの話を聞いたことがある。ドラマの出向よりさらに深刻な事態だ。多くの夫たちは、妻に「リストラされた」と言えずにいた。中には、次の給料日まで言えず、毎日、妻の作ってくれたお弁当をもって図書館やら公園やらで時間をつぶしている男性もいた。 「妻に心配かけたくない」  その言葉の裏にあるのは、自分の弱みを見せたくないということでもある。夫というものは、無意識のうちに「妻より上であること」を望み、そう思うことで安心しているような気がする。妻もまた、男はそういうプライドの上に男であり続けようとしているのを知っているから、夫の様子がおかしいと思っても踏み込んで聞こうとしないのだろう。  リストラは、それまでの夫婦関係を見きわめる“試験”のような出来事である。夫が会社で不要だと言われたことを、妻がどう受け止めるか。  ドラマの完治も出向を告げられたとき、「なぜだ、なぜだ」と机を叩く。リストラも同じだ。「なぜ、オレなんだ」と全員が思う。そして会社のためにがんばってきた年月を思い、自分が否定されたと絶望に陥るのだ。
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絶望する夫にかけた言葉、正解と不正解
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