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ドラマ『黄昏流星群』に見る男の弱さ。夫が左遷された時、妻はどう反応すべき?

 ある男性は、リストラを告げられたとき、すぐに会社から妻に電話をして正直に話した。妻は「なぜ、あなたが?」と言った。その思いが自分と同じだったため、夫は自身の尊厳を失わずにすんだそうだ。  別の男性は、なかなか妻に言えなかったが、あるとき思い切って話した。すると妻は冷ややかな目で夫を見ながら、「私と子どもたちの生活はどうなるの?」と言ったそうだ。それを聞いて、夫は離婚を決意したという。

会社から突き放された時、自分を丸々否定されたように感じる

 リストラや出向というのは、男にとって自分を否定されたことにつながる。会社人間としては否定されたのかもしれないが、社会人として、ひとりの人間として否定されたわけではないはずだ。だがある意味で会社に依存してきた彼らは、自己否定と敗者の惨めさを味わわざるを得ない。そうやって生きてきてしまったのだ。すぐに価値観は変えられない。「終わりの始まり」を彼らがきちんと意識したとき、夫婦関係も生まれ変わる可能性はある。  ドラマを観て、「そうやって落ち込んだとき、どうして男は不倫に逃げるのか」と思う女性も少なくないだろう。自己評価が下がったとき、男の心を癒やしてくれるのは生活をともにしていない、利害関係のない女性の笑顔なのかもしれない。それがいいとか悪いとかいうつもりはない。初めて人生を否定されたときに、空っぽの心に入り込んでくるのは人間が根源的にもっている「他者に受け入れてもらいたい欲求」、つまり恋なのではないだろうか。 <文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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