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娘の彼氏に一目ぼれ…ドラマ『黄昏流星群』のような、47歳主婦の恋

「ぎゅっと腕をつかまれたんです。『おかあさん、いえ、タマキさん。あなたはどうして僕を避けてるんですか』って抱きしめられて。こういうときが来るのが怖かった、とつぶやいてしまいました。私の心の声だった。『僕もあなたが好きだった。初めて会ったときからずっと』と彼は言いました」  意地悪なことを言えば、妻の妊娠で夫婦生活を禁止されていた男の欲求もあったのかもしれない。だが、ふたりは気持ちを確認しあってしまった。その熱情を止めることはできない。 禁断の関係「性行為で感じるってこういうことだったのかと初めて知りました。私はずっと夫の欲望を受け入れるだけだったから、感じたことなどなかったんです」

「あの思い出だけで私は生きていけます」

 満たされた思いと娘への罪悪感を抱えて、タマキさんは自宅に戻った。そこには明るく「どうだった?」と声をかけてくる娘がいた。娘の顔を見て我に返った。 「本当に幸いなことに、その直後に娘の夫が転勤になって。娘は仕事もあるし出産もあるから、とりあえずは単身で行ってと頼んだようです。産後、しばらくたってから娘も彼の元へ行きました。その間も彼に会う機会はありましたが、なるべく目を合わせないようにしていました。苦しい日々でしたよ、本当に」  今はまた娘一家と近くで暮らしているが、タマキさんはなにごともなかったように彼にも接している。彼も何も言わない。 「ただ、私は彼に感謝しているんです。ほんの一瞬でも誰かと本当に身も心もつながってうれしかったと本気で思えたから。もう私もトシですから、今さらどうこうはありえない。あの思い出だけで私は生きていけます」  タマキさんの頬がうっすらと染まり、とてもきれいに見えた。 <文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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