父の浮気を20年以上疑い続け、ギブアップした母。親の離婚に娘が思うこと
夫婦の信頼がわからなくなって、家族に虚無感を覚えた
「父の不倫は私が生まれる前のことなので、あまり現実味がないのですが、たった1度の過ちをいつまでも許せなかった母の性格が家族の崩壊を招いたことは、私の結婚観に影響を与えたと思います。夫婦や家族の信頼が何なのかわからなくなったし、家族が常に一緒だったのも、母が安心するための束縛だったのかと思うとなんだか滑稽に思えてきて、“家族”に虚無感すら覚えてしまったんです。
それに、子どもの前でも嫉妬心をあらわにしていた母の言動は好きじゃなかったので、少なからず似ている部分のある自分も同じようになってしまうのではないかという怖さもあり、結婚や母になることへの抵抗も感じました。
ただ、20代後半で出会った男性に、『弥生と一緒にいたいからいる。それだけで幸せだから』と、ムリに信頼しようとか、一緒にいる意味を見出そうとしなくていいよと言ってもらえて、すごく心が落ち着いたので、彼と結婚を決めました。今は3人の子どももいます」
――今のお気持ちを聞かせてください。
「自分が結婚して思ったのは、母は愛情表現が下手で、父も受け止め方が下手だったのかな? ということです。責めたり疑ったりするのではなく、気持ちを素直に伝えていたらあんなギスギスした空気にはならなかったでしょうし、父の態度も変わっていたのではないかと。
そんなことを思ってからは、感謝も愛情もちょっとした不安も、すべて素直に夫へ伝え、感情的にならずに話ができるようにも気を付けています。気を抜くと母のようになってしまうのではないかという心配は拭いきれていませんが、今は夫婦の信頼がどんなものかわかるようになったので、あまり余計なことは考えずに、“本物の幸せな家族”を大切にしていこうと思っています」
<文/千葉こころ>千葉こころ
自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中
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