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『まんぷく』の松坂慶子と長谷川博己の関係に注目。裏テーマは「ぎぼむすこ」?

 10月29日から第5週に入るNHK連続ドラマ小説『まんぷく』。だんだんと「インスタントラーメンの開発」という山場が近づいていますね。 『まんぷく』には、「姉の結婚と福子の成長」「姉の闘病と死」のように、週単位で大きなテーマが設けられています。先週(22日~27日)は、実は裏テーマに「ぎぼむす(義母+息子)」があったように思います。  つまり、福子(安藤サクラ)の母である鈴(松坂慶子)と、福子の夫・萬平(長谷川博己)の関係です。

義母・鈴(松坂慶子)は、萬平(長谷川博己)が気に入らない

 福子と萬平が結婚してから1年が経過。戦況が悪化し、福子と萬平、福子の母・鈴はともに兵庫県に疎開をすることになりました。  萬平が「発明家」ということ、体が弱いことから、義母・鈴はずっと彼が気に入らなかったのですが、一緒に暮らすことになって仲良くなるかと思いきや、人はそう簡単に変わらないもの。  萬平が入隊の身体検査で落ちて出征できず、お国の役に立っていないこと、さらに福子との間に子供ができないことを、鈴は毎日毎日チクチクやり続けます。  そんななか、再び萬平に赤紙(軍隊への召集令状)が届くと、その夜、亡くなった長姉・咲(内田有紀)が夢に出てきて「これで福子は未亡人」と笑顔で言うのです。これまで咲は鈴の「願望」の表れでした。でもこのとき、夢でブラックなことを言う咲に、母は「どうしてそんなひどいこと言うの?」と嘆きます。  しかし、翌朝、萬平が猛烈な腹痛を訴える……と義母は苦しむ萬平の枕元で「本当に?」「(戦争に)行きたくないから、仮病じゃない?」とねちっこく聞くのです。これはもちろん娘・咲を嫁に行かせたくなくて、仮病を使った「前科」が自分自身にあるから。  苦痛で顔をゆがめる萬平と、ねちっこく変なことを聞く義母のコントラストが深刻なシーンなのに、笑えます。  そして、苦しむ萬平のかたわらで「福子を未亡人にしないで」と、萬平のはとこ夫婦がギョッとするような言葉を吐き、そこから鈴は回復を祈って、お百度参りをするのです。  この優しさに、視聴者はグッとくるところですが、あくまで「福子のため」と言い、神社でも「萬平さん」とは呼ばず、「“福子の旦那さん”の病気を治してください」と言うところが、いかにも義母・鈴らしい。やっぱり他人扱いなのです。  しかし、途中から呼び方が「萬平さん」に変わっていくところ、徐々に家族になっていくところなども、本当に細かい描写です。

朝ドラで義母と息子の関係が描かれるのは珍しい

 さらに、萬平が目を覚ました理由は、「夢の中で、川のむこうにお義母さんがいて、『こっちに来ちゃダメよ』と言ったから」。 「川」はおそらく「三途の川」で、萬平を救ったのは義母・鈴ということになりますが、面白いのは「川のむこう=死の世界?」に鈴がいたこと。  そして、福子と萬平は、この夢のことは「話さないほうが良い」という結論にいたります。  もし話していたら、鈴は「なんで私が三途の川の向こうにいるのよ!?」と怒るでしょうか。あるいは「萬平さんを助けてあげたのは、私なのよ」と生涯言い続けるのか。おそらくどちらもという気がします。  ちなみに、朝ドラにおいて義母と息子の関係性が描かれるのは極めてまれなケース。たいていはヒロイン×義母で、いじめらるのが定番ですから。 『まんぷく』の世界に奥行きを与え、より魅力的にしているのは、この頑固で面倒くさくて愛らしい義母の存在。  そして、両親を早くに亡くした萬平が、穏やかな福子を間にはさみつつ義母との間で「親子」になっていく姿もまた一つの見どころです。 ―NHK朝ドラ『まんぷく』レビュー― <文/田幸和歌子> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
田幸和歌子
ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など
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