痴漢被害をきっかけにファッションで発信するレディース集団「女子力競争させるシステムをぶっ壊せ!」
なにそのファッション、かっこいい! とりあえず、この写真を見てください。
めっちゃストリート!
彼女たちは「NEW ERA Ladies(ニューエラレディース)」というフェミニズムユニットのメンバー。姉の宮越里子さん(グラフィックデザイナー)と、妹のsuper-KIKIさん(イラストレーター/アーティスト)の姉妹ユニットです。
ニューエラレディースは、ZINEと呼ばれる自主出版で作る冊子『NEW ERA Ladies(ニューエラレディース)』を発行するなど、精力的に活動を行っています。そのひとつが、super-KIKIさんのデザインするアパレル作品です。今日、彼女たちが身に着けているのもsuper-KIKIさんの作品。
そこには、どんなメッセージが込められているのでしょうか、少し見てみましょう。
●MY BODY MY CHOICE
里子さんが着ているトップスにプリントされた「MY BODY MY CHOICE」は、「私の身体のことは私が決める」という意味です。
2011年にカナダのトロントで、性被害に遭った女性に警察官がこう言いました。「レイプ被害に遭わないためには、売春婦のような格好をしないことだ」と。これに怒った人たちが抗議運動を起こしました。そのときに掲げられていたプラカードのひとつがMY BODY MY CHOICEです。
胸元の開いた服を着たって、ミニスカートを履いたって、それは誰かのためでも、ましてや誰かに好きにさせるためでもない。タトゥーを入れるのだって、誰かに気兼ねをする必要もない。私の身体は私のもので、あなたの身体はあなたのものだから。
●System of Patriarchy
super-KIKIさんのバッグにプリントされた「System of Patriarchy」は、「家父長制」という意味です。百科事典「マイペディア」(平凡社)によると「家長たる男性が権力を独占し、父系によって財産の継受と親族関係が組織化される家族形態にもとづく社会的制度。フェミニズムの立場からは,女性を抑圧しつづける権力構造であり、性差別を生み,助長してきたとされる」とのこと。これを墓碑にするというのが、最高の皮肉です。
――どうしてお2人は、このような活動を始めたのでしょうか?
里子「クラブで痴漢に遭ったことがきっかけです。その場で捕まえて追い出したのだけど、戻って来ちゃって。腹が立ったのでTwitterで経緯を書き込んだら『女の子はクラブとか危ないところに行っちゃダメだよ』とか『警察に行けよ』などと書かれたんです。
どうして被害者の私がそんなふうに言われなきゃいけないのかと思いました。それまでもフェミニズムには興味がありましたが、いよいよやる機会が来たかな、と」
KIKI「私は背が高いので、派手な格好をしていると、すごく奇抜に見えるらしくて。そうすると『そんな格好をしているとモテないよ』とか『男にモテるためには抑えた方がいいんじゃない?』とか言われるんです。そのたびにモヤッとしていましたが、その理由がフェミニズムやジェンダーについて考えたときに分かったんです。
私は自分が『女だからこうする』とあまり意識したことがなかったんですが、世間がそういうことを押しつけているんだなと気付いて、目の前が開けた気がしました。これをちゃんと学んで考えていけば、もっと自由に、楽しく生きられると思ったんです。そしてそれを自分が表現することで、他の人の希望になればいいなと思って」
ファッションに込めたメッセージ

