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不倫教授・高田純次の名言が出たっ。『黄昏流星群』の一家は全員不倫中

亀山早苗の不倫時評――ドラマ『黄昏流星群』の巻 vol.6>  人生の折り返し地点で悩みを抱えた、男女の恋愛を描いたドラマ『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』(フジテレビ系、木曜夜10時~)。もはや一家全員が不倫中という恐るべき展開に。

不倫の関係は刹那だからこそ燃えるのか

 完治(佐々木蔵之介)は、自分の気持ちを押し殺すことができず、とうとう栞(黒木瞳)の家に行ってしまう。完治を「今なら間に合う」と押し返そうとした栞も、自らの恋心に負ける。同期と飲んでいて終電を逃したと電話で言い訳しながら、完治は「嘘をついている」自分の顔を鏡で見る。そして栞もまた、嵐のような欲望が過ぎ去った部屋で、完治の服を畳みながら自分の顔を鏡で見ている。  嘘をついていることに心がとらわれる男、恋の不安に揺れる女。男は「ここにないもの」に思いを馳せ、女は「目の前にいる人」に気持ちが集中する。不倫をうまく表現している描き方だ。  そして夫の浮気が確定したと感じる真璃子(中山美穂)もまた、家で鏡を見ている。彼女自身は娘の婚約者に突然キスをされ揺れているのだ。人生折り返し地点の男と女は、自分の顔をどう思っているのだろうか。

高田純次が淡々と語った不倫名言

 一方、完治は娘の美咲(石川恋)の先行きを心配して、娘がつきあっている大学時代の教授・戸浪(高田純次)を訪ねる。この戸浪先生、なかなかいい味を出している。娘は若くて無知で無分別だから、先生のほうで大人の分別をと頼む完治に向かい、妻に見放されたけど籍は抜いていない戸浪先生は淡々と言うのだ。 「私は彼女を弄(もてあそ)んだりはしていません。ただ、彼女と時を過ごしているだけです」 「彼女の将来を云々などとはこれっぽっちも考えていない。彼女の将来には朝日が燦々と降り注いでいる。私は今にも暮れそうな夕陽の中を歩いている。まったく違う軌道を歩いている。でもたまたまふたりの軌道が重なった。何万分の1の確率で星がすれ違うように。一瞬ですよ、ほんとに一瞬。私にはかけがえのない時間でした。人生にはこんなこともあるんですね」  そのとき、完治の頭の中に栞とのスイスでの出会い、出向先での再会などが思い浮かぶ。信じられないような偶然が重なって、恋は種から芽を吹き出していくのだ。もう一度、出会わなかったらその場だけの思い出ですんでいたのに。  一緒にいる時間が楽しい。だから会わずにいられない。それが恋の基本なのだろう。戸浪先生は、それが一瞬であることもわかっている。  その後、母の真璃子が娘の旅行鞄に入っていたポーチに風邪薬を入れてあげようとしてコンドームを見つけてしまう、というなんだか情けない話が入っていて、戸浪先生のイメージがた落ちとなったりもするのだが、そこは見て見ぬフリをしておくしかなさそうだ。
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「家族」と「恋人」
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