「彼のメアドと『片付けておいたから。それともう飲みすぎるなよ』って書かれたメモがテーブルの上に置いてありました。二日酔いで頭がガンガンしていましたが、先輩にしでかした失礼の数々を思い出したら血の気が引いて、すぐに電話して何度も何度も謝りました」
先輩は「気にするな」と言ってくれましたが、珠美さんはお詫びとして食事に誘ったそうです。

「付き合うようになったのは泥酔の一件から10か月ほど経ってからで、その間に2人でご飯を食べに行くことは何度もありましたが、お酒は飲んでも1~2杯。今度酔っぱらったら今度こそ嫌われると思ったら、アルコールは弱いほうなのに逆にまったく酔えませんでした(笑)」
ちなみに先輩が珠美さんと付き合ったのは、彼も大学時代に密かに思いを寄せていたからだそう。「リバース(嘔吐)の一件は驚いたし、さすがにドン引きした」と後に言われてショックを受けたそうですが、もともとは両想いだったのです。
「ただ、結婚式で泥酔エピソードを再現したなれそめのVTRを流されたときは本当に恥ずかしかったですけどね(笑)」
相手によっては嫌われてもおかしくないケースですが、ゴールインできたのですから結果オーライ。きっかけが泥酔や嘔吐というのは、複雑な気分かもしれませんけどね。
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シリーズ 酒の失敗エピソード vol.12―
<文/トシタカマサ イラスト/鈴木詩子>