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「夫の1度の不倫が許せない…」娘まで愛せなくなった女性の壮絶な“その後”

娘に手を上げ家出、半年間一人で暮らし決めた答えは…

頭を抱える 夫は気を遣ってくれた。だがそうなればなるほど、「だったらどうして浮気したのよ」と責めてしまう。一度キレると自分でも歯止めがきかなくなるのが怖かった。 「それでもだましだましがんばったんですよ。でもとうとう娘が小学校に上がるころかな、意味なく娘に手を上げてしまった。そんな自分がイヤで家出して。でもそれは育児放棄ですよね。わかっているからもう死ぬしかないと思いつめて。あのころどうしてそこまで追いつめられていたのか、今となってはよくわからないんですが」  1ヶ月ほど精神科に入院した。少しよくなって戻ると、家は夫の母親が切り盛りしていた。夫としてもどうしようもなかったのだろう。だが彼女は「邪魔者扱いされている」と感じたという。 「娘もおばあちゃんに懐いているし、私がいなくてもいいんだと思いました。夫は家でゆっくりすればいいと言ってくれたけど、姑から見れば『役に立たない嫁』ですもんね。とにかくひとりになりたい気持ちが強かったんです。そうしたら夫が近所にアパートを借りてくれました」  ひとりになって半年ほど考えた。そして彼女が出した結論が「離婚」だった。どうしても許せない、離婚したいと夫に言った。娘も手放した。

離婚から数年、「もっと夫の気持ちも聞けばよかった」

「当時はとてもすっきりしたんです。これで夫の浮気も帳消しになる、というか顔を見なくてすむのでラクになれる、と。その後、とある地方で住み込みで働きました。5年くらい前に再婚するつもりの男性がいたんですが、結局、裏切られた。そのとき、つくづく思いました。私は大事な家庭をどうして捨ててしまったんだろうと」  そこで初めて、彼女は憑きものが落ちたような気がしたという。浮気は確かに許せなかった。だけどもっと夫の気持ちも聞けばよかったのではないか、もっと言い訳させて言いくるめてもらえばよかったのではないかと。 「夫は優しい人だったんでしょう。浮気発覚後は、私に気を遣ってばかりだった。私は一度の過ちを許せなくて娘にまで迷惑をかけてしまった。私が年をとったこともあるんでしょうけど、家族のぬくもりが恋しい。娘に会いたい」  ミホコさんの目が潤んだ。人はいつでも正しい判断を下せるわけではない。あとになってから、「こうすればよかった」と思うことはある。当時、夫を許せなかった彼女の気持ちに偽りはないが、時はいろいろなことを変えていく。「寛容」であることは大事だが、いつどこで寛容になればいいのか、その決断はむずかしい。  夫は折りに触れて娘の写真を送ってくれているそうだ。 「いつか娘に会って謝りたい。夫にも謝りたいと思っています」  その日が早く来ますように。 <文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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