――内田さんはセカンドハラスメントを受けたことがありますか?
『ファザーファッカー』(著:内田 春菊、出版社:文藝春秋)
内田「『ファザーファッカー』を発表したとき、『これは実話ですか?』と聞かれたので『覚えている限りは』って答えたら、『普通に答えてやがる』とかってずいぶん叩かれましたね。
あと、セカンドハラスメントとは少し違うかもしれませんが、育ての父から散々な目に遭わされていたにもかかわらず、私が堪(こた)えているように見えないから、
恋人が『俺もやっていいんだな』って勘違いしたり、『これだけの目に遭ってもケロッとしているから、このくらいは大丈夫だ』っていう風に捉(とら)えたりして、だんだん育ての父そっくりになっていくということも、散々経験しました」
――ご経験から、世の女性たちがセカンドハラスメントに遭わないためにはどうすればいいと思いますか?
内田「私はこうやって普通に話してしまうことで勘違いされるので、『あのとき母が……』とかって泣きながら語っていれば、セカンドハラスメントは起こらなかったのかなって思います。ただ、海外メディアなどではみんな冷静に話しているじゃないですか。
なんで日本だけそこで泣かないといけないのかよくわからないんですけど、結局は“可哀そう”でみんなの心が動くのかもしれないですね」
――性的虐待やセクハラで悩んだり苦しんだりしている女性が、その経験を少しでも乗り越えられる方法などがあれば教えてください。
内田「アウトプットすると、物語が自分から出ていくことで考えもまとまりやすくなるので、
どんな形でもいいから一度自分から出したほうがいいですね。ただそのとき、
たとえ事実だとしても『快感があった』などとは言わない方がいいと思います。
これまで、経験者のかたがスピーチされるイベントなどに何回も伺っているのですが、『そのときは父親のことが好きだと思っていて、快感もあった』なんて、わざわざ話されるかたが結構いるんです。だけど、その一言を聞いた瞬間、男性は『自分だって良い思いをしたんじゃないか』って穿(うが)った見方になってしまうんですよ。性感帯と呼ばれる神経が集まっている部位を摩擦すれば、快感があるのは
人体として当たり前。だから、そこは切り離してほしいと思います」