本作を上映する映画祭やプロモーションで40カ国以上を回ったというパラオロ監督によると、
ラストシーンの解釈は人によって様々だったと言います。作中、アンナの顔のクローズアップのシーンは多いのですが、ラストシーンではアンナの背中しか見えず、彼女の表情は観客が思い描くしかありません。それも、監督が観客に与えたかった“
想像の自由”なのだとか。

『ともしび』より
「
本作のアンナを通して、観る人が自分自身を発見してくれれば嬉しいです。人生において正しい決断や行き先なんてないかもしれない。自分で考え、自分なりの答えを見つけてほしいと思います」
愛する人と一緒にいられることは幸せですが、その幸せも日々の妥協や犠牲によって、いつとはなしに共依存的関係へと変化することもあります。
自分のアイデンティティを保ちながら、対等で幸福な結婚生活を続けるのは可能なのか――。老いてもなお、自分自身を再生することはできるのか――。
本作は、映画館に座っているだけで人生の答えがもらえる作品ではなく、自ら積極的に物語とコミュニケーションをとるべき作品。そうすれば、私たち女性が抱える闇を照らしてくれる光を見つけることができるかもしれない――そんな大人の女性のための珠玉の1本です。
<文/此花さくや>
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此花わか
ジェンダー・社会・文化を取材し、英語と日本語で発信するジャーナリスト。ヒュー・ジャックマンや山崎直子氏など、ハリウッドスターから宇宙飛行士まで様々な方面で活躍する人々のインタビューを手掛ける。X(旧twitter):
@sakuya_kono