息子の入学式から始まった不倫…駆け落ちした45歳妻が最後に選んだ道は
何らかの事情で一度関係の壊れかけた夫婦でも、思わぬきっかけで再生することがあります。男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、夫婦の“再生物語”をレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)
首都圏のとある町で、夫とともに個人商店を営むハルコさん(47歳)が、駆け落ちをしたのは今から2年前。
「夫とは東京で知り合ったんです。夫も私も会社員で、共通の友だちの結婚式で話をして意気投合。そこから半年もたたずに結婚しました。29歳だったかな」
共働きでひとり息子を育てていたが、結婚して10年たったころ、夫の父親が急逝した。以前は手広く商売をしていた義父だが、そのころは店もかなり小さくなっていたという。
「それでもパートさんをふたりくらい頼んでいるようなお店だったんです。ただ、お義母さんはその店をもうやっていけないとパニックになって。夫は次男ですが、長男は商社マンで当時海外にいたんですよ。そこで夫が実家に帰ると言い出したんです」
ハルコさんは大反対だった。会社を辞めたくなかったし、それまでの生活を変える気もなかった。ただ、夫の決意は固かった。
「じゃあ、とりあえずは別居でやってみよう、と。夫は店を継いで実母と暮らす。私は都内で息子と暮らす。それほど遠いわけではないから、会おうと思えばいつでも会えるし」
ただ、その後、義母が倒れて入院。夫からはひっきりなしにSOSが届くようになった。息子が中学生になるとき、彼女も決断をせざるを得なくなった。
「息子が、『いいよ、向こうにいっても。一緒に暮らさないと無理でしょ』と大人びたことを言ってくれたので、私も諦めました。家族は一緒にいなければいけないと思ったわけでないけど、夫の憔悴(しょうすい)ぶりが気になっていたので」
義母は自力で歩けないわけではないが、左半身が不自由なため付き添いが必要だった。
「店をやりながら義母の世話をして、息子にも目を向けて。忙しい日々が始まりました」
それでも夫の必死の努力のかいもあり、店の売り上げは義父の晩年のころより少しよくなっていた。
「夫は商店街のつきあいもあって、店が終わるとよく飲みに行っていました。義母の世話なんてしたこともない。義母は気むずかしい上に、同居してからは何でも私を頼るようになって、自力で生活するのがむずかしい状態。私はストレスがたまっていきましたね」
中学を卒業した息子は、遠方の全寮制の高校に入りたいと言い出した。家から出たかったのだろうとハルコさんは推測する。