「帰宅すると、夫は私の浮気なんか全然疑ってなくて、
ただの家出だと思っていた。それは救いでもあると同時に、やっぱりこの人は私をちゃんと見ていないとも感じましたね。だけどそのおかげで、義母を施設に入れることになり、私はかなり心身ともにラクになりました」
義母の施設は、息子の全寮制の学校から比較的近いところに決めた。彼と会いたかったからだ。ただ、
駆け落ち騒動後から半年、彼とは別れた。

「騒動後、夫が何を思ったかかなり変わったんですよね。店を改装し、隣の空き家を買い取ってカフェを始めたいんだけどどうかなと相談してきたり。
人生後半期だからこそ、思い切って勝負したいと言う夫をかっこいいと思いました」
今は店を夫、カフェをハルコさんが協力しながらではあるが仕切っている。まだまだ経済的には大変だが、ふたりで力を合わせてがんばっているという実感がある。
「今年に入って夫がぽつりとつぶやいたんですよ。『
オレ、今がいちばん幸せだな』って。もしかしたら、
夫は私が駆け落ちしたことを知っているのかもしれないとふと思いました」
夫が知っていたという証拠はないし、もちろん問いかけてみるつもりもない。だが今、心が寄り添っているからこそ、ハルコさんにも夫の心の底がちらっと透けてみえているのかもしれない。
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夫婦再生物語 Vol.4―
<文/亀山早苗>
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