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息子の入学式から始まった不倫…駆け落ちした45歳妻が最後に選んだ道は

息子の入学式で、運命の人に出会って

 その息子の入学式に付き添ったときのことだった。保護者の席で隣に座っていた男性と目が合い、会釈した。そのあと、男性が話しかけてきて、「保護者同士」として話をした。 「息子はもうそのまま寮に行くというので別れて、ひとりで最寄り駅まで歩いていたんです。そうしたら後ろから声をかけられて。さっきの男性でした」 ランチ 暖かい日だった。彼は土地鑑があるので、少し散歩でもしませんかと言ったが、彼女は店と義母の世話がある。そう言うと、じゃあ、軽くランチでも。そのくらいはいいでしょと彼は笑った。  ランチをとりながら話してみると、彼はその高校がある県の出身。妻に先立たれ、ひとりで子どもふたりを育ててきたそうだ。長男が寮に入るので、これからは中学生の娘とふたり暮らしになると少し寂しそうに語った。 「その日は連絡先だけ交換して帰ったんですが、私はなんだかその彼のことを忘れられなくて。翌日、彼から連絡が来て、ぜひまた会おうということになったんです」  明らかに恋に落ちた自分を感じたとハルコさんは言った。夫と出会ったときとは違う、もっとしっとりした柔らかい感情だった。 「これが本物の恋。そして彼は運命の人」  彼女はそう思った。お互いに時間をやりくりして会った彼も同じことを言った。ふたりは言葉を交わさずホテルへ行った。したいことは同じだったのだ。

ひっそりと逢瀬を続け、ついに駆け落ちまで

「そこから息子の学校へ行く用をわざわざ作ったり、学校へ行くと嘘をついては家を抜け出して彼のもとへ。その年の夏休みですね、彼が『息子は部活で合宿、娘は友だち一家の別荘に行く』と聞き、いてもたってもいられず彼の元へ。このままふたりでどこかへ行ってしまおうということになって」  駆け落ちである。行き先も決めず、彼の車でふたりは遠くへ遠くへと走り出した。海岸沿いを走っているとき、このまま死んでもいいかなと思ったと彼女は言う。 駆け落ち好きな人とふたりきりで死ねたら、それはそれで幸せだと。彼も『誰も知らないところへ行きたい』とつぶやいた。あのまま彼がブレーキをかけずに海に向かって車を飛ばせば、私は今、ここにはいなかった」  ただ、彼はすんでのところで理性が効いたらしい。車はダイブしなかった。それから3日間、ふたりはずっと一緒にいた。夫からはひっきりなしに電話が入る。だが彼女は、「無事だけど探さないで」とメッセージを送った。4日目、彼が疲れた顔で、「友人の別荘に行っている娘が体調を崩したと連絡がきた」と言った。 「子どもには勝てないね」  ふたりは顔を見合わせた。同じ頃、ハルコさんの夫からも「話を聞くから、とにかく帰ってきてほしい。オレも生活を改めるから。頼む」と下手に出たメッセージが来た。少し心が揺さぶられ、4日目の夜、ふたりはそれぞれの家に戻った。
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妻を迎えた夫の反応は……
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