洗濯機と蛇口がつながっていない…超ズボラな生活ぶり
時計の針を少し戻そう。木島さんが本社勤務を命じられて東京に戻り、典子さんのマンションへ頻繁に行き来するようになってから、いくつかおかしなことに気づいたという。
「
洗濯機と蛇口がつながっていないんです。普通、壁から出た蛇口と洗濯機はホースでつながっているじゃないですか。でもホースがない。じゃあどうするかというと、洗濯機のスイッチをオンにして洗濯槽のフタを開け、同時に蛇口から水を出して洗濯槽に水を溜めて洗う。そうすると、なんとなく脱水までいくんです」
聞いていて、頭にいくつもの疑問符が浮かんだ。面倒くさいからつながない……のだとしても、洗濯ごとにいちいち蛇口をひねるほうがよっぽど面倒だ。しかし典子さんは一人暮らしの間、それでずっと通したという。「
多少の不満があっても自分から環境を変えようとはしない」の行動原理が徹底されている。典子さんにとって「ホースをつなぐ」は、ものすごく面倒くさい「環境を変える」ための大仕事なのだ。

「典子の部屋に掃除機があったんですけど、長らく使った形跡がない。調べてみると、吸ったゴミが中の紙パックに目一杯詰まっていました。聞くと、
掃除機を買ってから紙パックを一度も交換していないって言うんです」
その掃除機に合った替えの紙パックを買い、交換する。典子さんはそれをしない。否、できない。掃除機が使えなくて多少不便でも、大きくは困らないからだ。これも「多少の不満があっても自分から環境を変えようとはしない」だ。
「典子は料理も一切しません。すべて外食か、すぐ食べられるものを買って食べていたようです。だから
冷蔵庫は『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイの冷蔵庫みたいでした(笑)。長らく使ってない調味料くらいしか入っていないんです」
なんと、部屋にはカーテンがなかったという。
「布みたいなものが部屋の隅に置いてあって、カーテン替わりに使おうとしたけど諦めたみたいです。枕カバーもなし。枕の中身には汗ジミがついていました。あと、洋服を満足に畳めないみたいで、洗ったものが適当に置いてあったり。
洗濯機がああですから、下着をまともに洗っていたかどうか怪しいです。ただ、あまり汗をかかない人みたいで、臭いと思ったことはありません」

次々出てくる奇行エピソード。しかし典子さんは決して身なりに無頓着ではなかった。
「服はいつもVIA BUS STOP(ヴィアバスストップ)という、海外デザイナーズブランドを集める高級セレクトショップで買っていましたし、化粧品はシャネル、カバンも10万円は下らないもの。こまめにサロンにも行っていたし、髪の毛もきちんとしていて、ちゃんとお金をかけていました。学生時代も社会人になってからも、
周囲から“オシャレでセンスのいい子”で通っていたと思います」