――ハンディキャップをもつ女性フロランスと、リッチでハンサムなプレイボーイのジョスランの恋愛を軸にしていますが、人間がお互いに抱く“偏見”や“先入観”という普遍的なテーマを映し出しているように感じました。

『パリ、嘘つきな恋』より
デュボスク「障がい者と健常者に横たわる“違い”を物語にしたことには、理由があります。私たちは誰かと知り合ったときに、まず“
自分とは違う”ところに目が行きがちですよね。
でも本当は、“違い”よりも“同じ”ところに目を向けるべきなんじゃないか――。他人を“自分と違う”という視点で見るよりも、
“似ている”視点で見たほうが、お互いを深く理解し合えるのではないか――。そう思ったんです」
――作中、ジョスランの兄が彼に「お前は自分が好きじゃないから、他人に嘘をつくんだ」と言うセリフがあります。他人と深い関係が結べない人間の問題は何だと思いますか?

『パリ、嘘つきな恋』より
デュボスク「足の不自由なフロランスと嘘つきのジョスラン、この2人のうちどちらがハンディキャップを負っているかというと、実はジョスランのほうなんです。なぜなら、彼は自分を愛することができないから。
“自分自身を受け入れられることができない”、“自分自身に対して居心地が悪い”というのは、人生において一番のハンディキャップだと思います。自己肯定感がないというのは、他人と深い関係を築くのを妨げるんですよね」
――印象的なラストシーンですが、深い意味が込められていてとても感動しました。
デュボスク「足の不自由なフロランスのほうが一見社会的弱者だと受け取られがちですが、本当はそうじゃない。ハンディキャップには目に見えない形もあるんだ、という現代社会における差異に対する先入観や男女関係へのメッセージを込めたラストシーンにしました」
原題・英題:Tout le Monde Debout クレジット:監督・脚本:フランク・デュボスク 出演:フランク・デュボスク、アレクサンドラ・ラミー 2018年/フランス/仏語/108分/シネスコ 配給:松竹 公開日:2019年5月24日 公開情報:5月24日(金)より、新宿ピカデリー、東劇、渋谷シネクイント他 全国ロードショー 公式サイト:paris-uso.jp