スーパーの食品は手前から取る?食べ物を捨てないためにできること
食べ物を捨てるなんてもったいない――。
当たり前のことに思えますが、実は日本の食品ロス(まだ食べられるのに捨てられた食品)はなんと年間643万トン。そのうち291万トンが家庭から出ています(※環境省、平成28年度推計値)。あまりの事態に、5月24日、食品ロス削減法が成立しました。
食べ物をムダにしないために、私たちが日々できることは何でしょうか?
『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』の著者で、食品ロス問題に長年取り組んでいる井出留美さんに取材しました。
――メーカーとお店の問題は根深そうですが、一方、家庭では「腐らせよう」と思って腐らせているわけではなくて、なぜかムダになっちゃう。なんで、こんなにロスが出ちゃんでしょう?
井出:冷蔵庫が一つの肝(キモ)だと思うんです。本来、食品を日持ちさせるための冷蔵庫なのに、冷蔵庫で腐らせている人って結構いるんですよね。
企業の在庫管理と一緒で、何がどれくらいあって、いつに期限が切れるのかがわかっているとロスが出ない。余分なお金も使わなくて済みます。
冷蔵庫がいっぱいじゃないと不安、という人もいますが、奥まで入っていると管理できないし、3割くらいスペースに余裕があったほうが冷気が循環してよく冷えるし電気代も安いんですよ。
そして家庭の冷凍庫は、冷凍したものを1か月で食べきるのがいいと言われているんです。
つまり「冷蔵庫いっぱいになるほど食品を買わない」ことが基本です。

――食品を買う時に気を付けるべきことはありますか。
井出:簡単ですぐにできることがあります。それは、スーパーやコンビニで商品を買うときは、すぐ食べるなら手前に並んでるものから買うことです。
――奥のほうが新しいから、つい奥から取ってしまいます……。
井出:手前から取ることで、ロスから救えるんです。
小売店では、賞味期限まで商品を店頭に置くことはありません。賞味期間を3分の1ずつに区切り、最初の3分の1までを「納品期限」、次の3分の1までを「販売期限」としています。この「販売期限」を過ぎてしまうと、店頭から撤去され、廃棄処分になってしまうんですよ。
――いちばん手前にある物でも、十分、賞味期限は残っているわけですね。
井出:また、小売店の中には「日付後退品」の納品を拒否する場合があります。これもおかしな商慣習なのですが、例えば、賞味期限2020年4月30日のペットボトルをひとたび納品すると、その翌日には、賞味期限2020年4月29日のものは納品できないんです。
――まだ1年以上あるのに。しかも、たった1日の違いで…。
井出:あと、買い物では大量に買わないこと。使い切れる量を買う。
キャベツ1個使えないなら、4分の1や2分の1を選ぶ。仕事が忙しい時はカット野菜だっていい。牛乳だって、1リットルを飲みきれないのなら、小さいサイズにすればいい。「小サイズだと割高になる」と言う人がいますが、捨ててしまったらもっと割高です。
――なるほど。確かにそうです。
井出:調味料も結構捨てますよね。たとえばマヨネーズをあまり使わない家なら、お弁当用の小袋でいいと思うんです。毎回開封して新鮮なものが使えます。余りがちなエスニック調味料は、他の料理に使えばいい。ナンプラーだってチャーハンに加えたり、味噌汁に数滴入るとコクも出ます。
――食材を多く買って冷凍保存するのはどうでしょうか?
井出:冷凍保存をマメにできる人ならいいですけど、マメじゃない人にはできないですよね。私自身が無理。だったら、使い切れる量だけを買うほうがいいと思います。
①冷蔵庫は7割まで。いっぱいになるほど買わない

②お店では手前の商品から買う

③「大サイズ=割安」という考えを捨てる
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