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女優、筒井真理子が語る「人生の不条理を知ることで強くなれる」

家族でも恋人でも、人間関係は“脆い”もの

――幸せに見える大石家の家族ですが、長女の基子と母親の関係にもなぜか不穏な雰囲気が漂っていますし、市子と基子の関係も友情以上の“なにか”があるように見えますが、すべての人間関係が非常な“脆さ”の上に成り立っていますね。 筒井真理子さん筒井「『誘拐されたのが私だったらよいのに』と基子が言うシーンがありますが、あそこでは、母親の関心が上の子ではなく、下の子にいってしまいがちだという普遍的な母子関係が描かれています。母親というものは気づかないうちに子供を追い詰めていることもあるんですよね。基子がニートになってしまったのは、母親の愛情に満たされなかったのも原因。  市子は基子の満たされない部分や、家族関係の脆さに共感してあげられたからこそ、基子は市子になつき、2人は心を共有することができたんだと思います」 ――市子と婚約者の関係も危ういですよね。 筒井「脆いですよね~(笑)。市子は実は子供もほしくて、連れ子のいる婚約者と3人で家族になるのを夢見ていたんだと思います。あれほど仲の良い家族のような3人の絆が事件をきっかけに壊れ、彼女の周りの人々も彼女自身も疑心暗鬼になっていく……。この映画が語る“人間関係の脆さ”を演じることは精神的にキツかったです」

人生は不平等なことだらけ

――『よこがお』は復讐劇を描いたサスペンスでもあり、人間の脆さや人生の不条理を描いたヒューマドラマでもあり、被害者や加害者をおもしろおかしく報道するマスコミへ問題提起する社会派でもあり、ジャンル分けが難しい作品です。 筒井「実際に、『こういう展開になるとは思わなかった』『いままでに観たことのない映画だよね』と多くの人が言って下さったんですよ。わかりやすいエンターテイメント作品ではないですが、ぜひ多くの方、特に若い方にも、ジェットコースターに市子と乗り込んだつもりで一緒に笑い泣き、最後に絶叫してほしいですね!  人生って思い通りに行かないし、不平等なことだらけ。この作品で体験する“人生の不条理”は、いつか人生で納得がいかないことが起こったときに思い出す、皆さんの“強さ”の血肉となればいいな、と願っています」 (c)2019 YOKOGAO FILM PARTNERS & COMME DES CINEMAS <文/此花さくや> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
此花わか
ジェンダー・社会・文化を取材し、英語と日本語で発信するジャーナリスト。ヒュー・ジャックマンや山崎直子氏など、ハリウッドスターから宇宙飛行士まで様々な方面で活躍する人々のインタビューを手掛ける。X(旧twitter):@sakuya_kono
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『よこがお』7月26日(金)より角川シネマ有楽町、テアトル新宿ほか全国公開 ヘアメイク:在間亜希子〔MARVEE〕スタイリスト:齋藤ますみ ジャケット、スカート:AKRIS アクセサリー:GOLDY
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