前回の後味の悪さを払拭でき大満足だった岩本さんですが、2日後の日曜日、なんと再び悲劇が……。
「家でダラダラしていたら、あの食中毒特有の急激な腹痛と吐き気にまたもや襲われたんです。『なぜ!?』と思いつつ救急に駆け込んだら、診断はやっぱり食あたり。細菌によって潜伏期間が違うので、
ここ数日の食事で怪しいのは金曜夜のホルモンだと言われてしまいました」
なんでもホルモンは焼きムラができやすいので、よく焼いたつもりでも一部が生焼けのまま……ということがよくあるそう。
「それと、先生は『生肉を触ったトングも危険』と。トングは生肉用と焼き上がり用で使い分けていたのですが、途中から酔っ払って適当になっていたのかも……。ツメの甘さを猛省しました」
月朝になっても下痢が続いていた岩本さんは、仕方なく会社を欠勤。
「もちろん欠勤理由はNにも知られてしまい、『本当にごめん』『申し訳ない』と謝罪のLINEが続々と。これ以上気を遣わせまいと、『私の体調の問題だから!』と返したら、『まだ体調よくなかったのに無理させてごめんね』と、余計気を遣わせてしまいました」
さすがに二回連続の食中毒は気まずすぎたのか、それ以降Nさんからの誘いはなし。
「そして、
秋になって『そろそろ自分から誘おうかな』と思った矢先、Nが転勤となり不完全燃焼のまま2人の関係は終わってしまいました。こんなこと思ってもしょうがないけど、もし食中毒にならなかったら私たち今頃どうなってたんでしょうね……」
食中毒で人生が変わってしまったとしたら、あまりに無念。とにもかくにも、夏場の生焼け肉にはご用心です。
―シリーズ「
夏に起きたトンデモ」エピソード―
<文/鈴木うみこ イラスト/ハラモエ>