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伊藤沙莉が語る話題作『生理ちゃん』「男女の性が微笑ましく描かれています」

 手塚治虫文化賞短編賞を受賞した大ヒットコミック『生理ちゃん』(作・小山健)は女性の生理を擬人化し、生理を含めた女性性を赤裸々に描いた斬新な漫画。なんとこの衝撃の漫画を映画化、11月8日に公開されます。
『生理ちゃん』

『生理ちゃん』

 どこかのご当地キャラをシュールなブサカワキャラにしたような“生理ちゃん”が登場する本作は、生理の辛さを男性にアピールする映画ではなく、日本の女性が“女性らしく”というジェンダー・ロールに囚われたり、低い自己評価で自分自身を呪縛したりしている様子をゆる~くコミカルに映し出した、画期的な女性映画と言っても過言はないでしょう。  シリアスな役からコミカルな役、主演女優から名脇役まで、いまやTVドラマや映画で見ない日はないほどの活躍を見せる演技派女優・伊藤沙莉さんが、本作では理想と現実のギャップに苦しむSNS世代の“こじらせ女性”を存在感たっぷりに演じています。そんな彼女に映画『生理ちゃん』に込められたテーマから仕事への姿勢までお話を伺いました。

女性も男性も抱える“性”が微笑ましくポップに描かれている

――実際のキャラクター、“生理ちゃん”に接してどんな印象を受けましたか?
『生理ちゃん』より

『生理ちゃん』より

伊藤沙莉さん(以下、伊藤)「めちゃくちゃ愛くるしいですよ。CG化されているわけではないので、一緒に過ごして愛着がどんどん湧いてきましたね。それは私達が実際の生理に対する気持ちに通じるものがあるのかも。自分の前にだけ現れる“生理ちゃん”をどれだけ愛せるか――。それは自分自身と向き合うことかもしれません。どんなときもそばにいて寄り添ってくれる“生理ちゃん”の無表情がたまらなく好きですね」 ――この作品は女性が抱える生理だけではなく、男性が抱えるものも表現されています。 伊藤「そうなんです。“生理ちゃん”だけではなく、童貞君や性欲君も登場します。あれだけ卑猥な言葉を映画で聞くとは思わなかったんですが、”男性らしさ”や”男性の性”の的をも得ているというか(笑)。女性も男性も抱える“性”を微笑ましくポップに描かれているからこそ、『お互いを理解しよう』と素直に思えるんじゃないでしょうか」 ――“生理ちゃん”を通して生理が女性に与える影響だけではなく、女性が会社で男性に“女の子扱い”されることや、女性は結婚しなければいけないというジェンダー・ロールなども描かれていますが、伊藤さんにとっての“あるある”はどんなところでしたか?
伊藤沙莉さん

伊藤沙莉さん

伊藤「そうですね、全体的に“あるある”だらけなんですが、生理に対して一番分かりやすいなと思ったのは、大きなサイズと小さなサイズの“生理ちゃん”があるところ。女性にとって生理というのは個人差があります。生理の重さ、イライラ、ダルさ、痛み、すべての症状や期間には個人差があり、それを生理ちゃんの大きさや行動で表現している。  そこには、『男性は生理の辛さを分かっていない』というメッセージだけが込められているのではなく、女性もほかの女性の生理については実は分かっていない――。だから性別関係なしに、女性も男性もお互いに歩み寄っていかなければいけない――。そんな人と人との歩み寄りを描いた作品だと思います」 ――劇中、「生理なんていらない」というセリフが出てきますが、伊藤さんご自身もそう思ったことがありますか? 伊藤「海や温泉に行ったりするときに『邪魔くさいな』とは感じることもありますが、生理が来るたびに女性としての確信がもてる気もします。生理と向き合うのが大人の女性という気持ちもどこかにあるし、生理と向き合うことは自分自身に向き合うことなのかも……。なので、生理がいらないとまではあんまり思っていないですね」
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「自分に呪いをかけるのをやめたら」というセリフに救われた
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11月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次公開 配給:吉本興業
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