
出産後や育児中に、夫婦が育児のスタンスのズレから険悪になるのは想像しやすいですが、破綻を避けるために、何に気をつけていけばよいのでしょう。
「あまり知られていませんが、
出産後8ヶ月目までの夫の育児の関わり方で、その後の夫婦関係が決まると言っても過言ではありません。これはただ育児に主体的に参加するということではなくて、
『妻から見て、してほしい育児をする』ということが大切です」(美紀子さん)
妻がしてほしい育児。どうして8ヶ月なのか。また、ただ育児に取り組むのと何がどう違うのかを聞くと、出産後の女性は本能的に子を守ろうとするモードになっているのだそう。それはつまり、「こいつは子育ての敵だ!」と思う人や物事を、無意識に排除しようとする敏感な状態なのです。
そんなときに夫が「勝手な育児(妻が望まない育児)」をすると、せっかくの夫の存在も妻の中で無意識に「敵だ!(私の育児にとって障害だ)」と認定され、関係悪化の引き金になるそうです。
「妻にとってしてほしい育児をするためには、考え方や価値観のズレをなくしたり、希望を把握するためのコミュニケーションを取ることが必要です。よくみなさん『価値観が合わない』と言いますが、そもそも価値観を開示しあうやり取りが足りないままここまで来ていることも、十分ありえるのです」(美紀子さん)
夫婦関係の危険度。その見極めはシンプルですが、根っこの仕組みは複雑です。
積み重なった価値観のズレや不透明さが、出産というビッグイベントを機に現れてしまう。夫婦のコミュニケーション、あなたはきちんと取れていますか?
【取材協力】
Life Design Labo/安東秀海・安東美紀子
業界最大手のカウンセリング事務所にてカウンセラー&講師として活動後、2015年に独立。結婚生活に悩む夫婦のためのカウンセリング&コーチングを行う。機能不全を生んでいる夫婦間のコミュニケーションパターン、価値観の違い、感情的なもつれを特定し、関係性修復に導くアプローチを得意とする。東京渋谷のカウンセリングルームには危機に直面した多くの夫婦が訪れている。
<文・イラスト/おおしまりえ>
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コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:
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