彼が利用している楽天市場を検索したら見つけてしまった
翌日、ヒナさんはそのネックレスをつけて出勤してみましたが、会社のお手洗いの鏡に写った30歳の自分と、チープな輝きを放つ可愛すぎるリボンのネックレスがあまりにもちぐはぐに感じたといいます。
箱もないそのネックレスの正体が気になったヒナさんは、まさかとは思いながらも彼がときどき利用していると聞いていた楽天市場内を検索。
「リボン 誕生石 ネックレス」のキーワードを打ち込むとすぐに、もらったネックレスを見つけました。値段は、5000円以下……。値段がどうこうではなく、ちょっと微妙な気分になりますよね。
結局、そのネックレスは彼と会うときだけつけるようになり、そのうち自然とつけるのをやめてしまいました。

写真はイメージです
「しばらくして、『あのネックレス、気に入らなかった?』って言われました。そんなことないよって言うしかなかったけど、気に入らないとかそういう話ではないと思ってて……。
彼は年収もそこそこあるし、自分の服や時計はいいものを買ってるのに、私には年齢不相応なアクセサリーを選ぶっていう、その感性をちょっと疑ってしまいました」
彼も良い気がしなかったのか、「なんでつけてくれないの?」「好きなブランドのものじゃないと嫌だったの?」とたずねられ、返答に困ったそう。
これだけが原因ではないけれど、ヒナさんと彼の関係は次第にぎくしゃくし、まもなく別れてしまいました。
「価値観が合わないと思うので、しょうがなかったと思います。高価なものが欲しいわけではないけど、年齢に見合ったものを選べる人がいい」
と話すヒナさん。そのネックレスはもう「どこかにいってしまった」とのことです。
単に彼のセンスが微妙だったのか、それとも、ヒナさんのことを“その程度の相手”と思っていたのか…今となっては謎ですね。
―シリーズ「
思い出深いギフト」―
<文/船田 ゆかり イラスト/カツオ>