当然、母親は激怒。当時、サキさんの母親は父親の両親の介護を献身的におこなっていたこともあり「私があなたの両親のお世話をしている間に、何をしているの!?」とブチギレたそうです。

「怒りまくった母は、あっというまにサキコさんの連絡先を父親から吐き出させ、サキコさんと直接話し合うことになったんです」
実際に、直接対決をするとは手に汗を握る展開です。
「母は『
訴えてやる!』と怒り狂って会いにいったのですが、サキコさんに会った瞬間、『
助けてください!』と母が逆にサキコさんからお願いされたそうです。どうやら、
サキコさんは、上司である父から一方的に言い寄られて困っていたようです」
にわかに信じられない話なのですが、本当なのでしょうか、
「サキコさんは本当に困っていたようで、同僚に相談したメールやら父親から送られてきたメールを母親に見せてくれたようです。直接話して母もサキコさんのことを信じたみたいです」

その後、どうなったのでしょうか。
「母親は情けない、と泣きサキコさんに謝罪。そして家族会議が開かれ、父親はこっぴどく叱られました。
帰宅時間やお小遣いなどいろんな制限が設けられ、今までやらなかった家事・親の介護もやるようになりました」
サキさんにとって、今回の出来事はまさに危機一髪だったそうです。
「もし、私が変なメールに気づかなければ、父親はパワハラ・セクハラでさらに問題を起こし、サキコさんに更なる迷惑をかけていたかもしれません。考えるとゾッとします」
今ではサキさんも結婚し、子供が生まれ、サキさんの父親もよいおじいちゃんになっているそうです。
―シリーズ「
危機一髪だった瞬間」―
<文/瀧戸詠未 イラスト/やましたともこ>
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