
居酒屋で開かれていた飲み会。すでに顔見知り同士で盛り上がり、会話に入りづらかったと言います。
「最初は緊張していたのですが、彼は途中で隣の席に座ってくれました。実際に会ってみると、地元が一緒という話で盛り上がり、『どこの高校?』と聞かれたんです。
私は一瞬悩んだのですが、素直に出た高校名を口にしました。すると彼は、驚いた表情を見せたのが忘れられません…」
琴絵さんの出身校を聞いて、態度が豹変(ひょうへん)したそうです。
「私が出た高校は、偏差値が40くらいの地元ではあまり評判のよくない学校だったんです。まあ今は少し、学校の雰囲気も改善されてはいますが。
私はそんな中で勉強して短大に進学をしたので、私自身と学校の評判は別だと思うのですが、彼にとっては違ったみたいですね…」

著名人男性の態度を見て、飲み会に参加していた人から「琴絵さんが出た高校がどういう高校なのか」と質問が投げかけられました。
「すると、彼は『口にしちゃいけない名前の学校』とはっきりと言ったんです。聞き間違えかと思ってびっくりしました。
自分が出た高校が、そこまで他人から、酷く言われたのは初めてでした。弱者にやさしいはずのコメンテーターの本性を見た気がしましたね…」
そう悔しそうに語る琴絵さん。メディアで彼の姿を見かけると、いまだにあの一言を思い出すそうです。
自分にとっては何気ない一言でも、相手にとっては一生深い傷になることもあるのです。
―シリーズ「
許せない一言」―
<文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/真船佳奈>