ディーン・フジオカの、歌手でも俳優でもない“意外な原点”。最新アルバムのピンク髪が意味するものは
2023年5月2日、ディーン・フジオカ初のベストアルバム『Stars of the Lid』リリースが発表された。解禁されたジャケットを見て、ピンク髪ビジュアルにびっくりした。
国際派俳優として圧倒的人気を誇るディーンだから可能になる、ダイナミックなアーティスト表現がある。ここから彼が目指そうとするのは、ポップスター路線では?
「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、“複合アーティスト””ディーン・フジオカの足跡を追う。
ディーン・フジオカの代表作はどの作品だろう?
仏ロマン主義の文豪アレクサンドル・デュマによる原作小説を日本に置き換えた野心的なドラマ『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』(フジテレビ系、2018年)だろうか。
あるいは、今や日本のラブコメブランドを確立しているTBS火曜ドラマ『ダメな私に恋してください』(2016年)も萌えキュン必至な名作だった。
映画作品なら、企画プロデュースと主演で臨んだ力作『Pure Japanese』(2022年)もある。でも筆者は個人的に、シャーロック・ホームズのイニシャルを持つ名探偵・誉獅子雄を演じた月9ドラマ『シャーロック』(2019年)が断トツな気がしている。
岩田剛典扮する愛すべき相棒・若宮潤一とのバディ感がとにかく素晴らしかったのだが、同作をディーンの代表作とする決め手はエンディング曲「Shelly」によるところが大きいと思うのだ。
オープニング曲「Searching For The Ghost」とともに「Shelly」を歌うのは、作詞作曲も手がけたディーン本人。短いイントロのあと、すぐにサビのフレーズ「Shelly」というトラックタイトルがくる。バックトラックでは、ブオーンというバスドラムの重低音が響く。
控えめにかき鳴らされるアコースティックギターの優しげな音色もいい。ディーンのヴォーカルが美しく繊細な高音で持続する。繰り返しを基本とするループミュージックのお手本のような音作りへのこだわりを節々に感じる。このグルーヴ感、たまらない。
作曲の共作でクレジットされているのがUTAで納得した。「BTS」や「ØMI」などへの楽曲提供で知られる日本を代表する音楽プロデューサーにしてトラックメイカーだ。
米国のR&B現行トレンドのツボをおさえたトラックに、国際派のディーンが歌声を吹き込む。歌詞には5ヶ国語を操るディーンらしい趣向がこらされている。まさに、この曲にしてこの人あり。それくらいの名曲だ。




