末期がんで余命宣告を受けた夫が「抗がん剤は使わず治す」と宣言。その選択に寄り添った妻の思いとは
気功家の夫婦。しかもご近所で40年来の友人。ドキュメンタリー映画の題材、被写体としてはそれだけでユニークに思えてしまう。
が、ドキュメントバラエティの元祖である『追跡』(日本テレビ)など、数々のドキュメンタリー番組を演出してきた製作者の眼差しは違うらしい。「最初は撮影したいとは思わなかった」と語るのは、夫婦二人三脚で製作を行ってきた藤澤勇夫監督と馬場民子プロデューサーである。
ふたりの劇場最新作映画『東京夫婦善哉』(とうきょうめおとぜんざい)が、全国で順次公開されている。
気功家の夫・稔さん(73歳)とスペイン語翻訳家で社会活動家の妻・弥生さん(72歳)。健康そのものだったはずの夫が癌に冒され、妻との葛藤の日々が静かに浮き上がる。夫婦生活、最後の3ヶ月を追ったカメラが捉えたものとは?
今回は前後編インタビューを行い、前編では監督夫妻が、最終的にドキュメンタリー映画製作にいたった経緯や見どころなど、本作の秘話を聞いた。
――実に40数年来の友人である星野夫妻に、最初に会ったときの印象を教えてください。
馬場民子:この人(藤澤)と結婚する前に私が知り合いました。家の近所に『バッハ』という、作曲家のバッハしか流れていないクラシック喫茶がありました。みんな自由に本を読んだり、原稿を書いていたり。奥の厨房では、料理好きの弥生さんがビーフシチューなど、料理を作っていたんです。
顔見知りでしたが、特に会話をするわけではありませんでした。すると、経堂に私の従兄弟がやってきて、その紹介で親しくなりました。知り合いになると、もう次の日から、ご飯に誘われました。弥生さんは、とにかく「ご飯食べにこない?」と言う人なんです(笑)。
――映画の中で描かれているように、最初からご飯が多めだったんですね。
馬場:ご飯を食べさせることが大好きな人です。食べ物を大事にする方でもあります。
藤澤勇夫:絶対に食べ物は無駄にしないという哲学を持っている人です。たくさん作ってくれるのは嬉しいのだけれど、全部平らげなくてはいけません(笑)。
馬場:なんと言うか、山女なんですよ。
――きのこ鍋を作る場面がありますが、確かに溢れてしまった具材を川で洗って、もう一度煮ていました。
馬場:そう、あれもね、彼女の哲学です。
――弥生さんは、お酒も結構飲まれる方ですよね。
藤澤:必ずワインの瓶がテーブルに置いてあります。撮影中は、それを飲みながらでした。
馬場:だから私たちは、ワインを必ず持って行きます。行列に並んでお得なワインを買うと、喜ぶんです。稔さんが飲めなくなってからも自分は飲んでいました。
弥生さんは、とにかく「ご飯食べにこない?」と言う人なんです(笑)
必ずワインの瓶がテーブルに置いてある
【作品概要】
『東京夫婦善哉』
製作・配給:有限会社ビックリ・バン
配給協力:風狂映画舎
(C)有限会社ビックリ・バン
公式サイトはこちら
【劇場情報】
アップリンク京都にて2024年1月5~11日
舞台挨拶:
・1月5日(金)12:00の回(上映後)
・1月6日(土)12:00の回(上映後)
登壇者:
星野弥生(出演)、藤澤勇夫(本作監督)、馬場民子(本作プロデューサー)
『東京夫婦善哉』
製作・配給:有限会社ビックリ・バン
配給協力:風狂映画舎
(C)有限会社ビックリ・バン
公式サイトはこちら
【劇場情報】
アップリンク京都にて2024年1月5~11日
舞台挨拶:
・1月5日(金)12:00の回(上映後)
・1月6日(土)12:00の回(上映後)
登壇者:
星野弥生(出演)、藤澤勇夫(本作監督)、馬場民子(本作プロデューサー)





