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松本穂香「私は勉強もメイクも周りより遅れていたけど…」過去を振り返り、感傷的になったワケ

 数々の映画やドラマに出演している女優の松本穂香さん。大の映画好きでもあるという松本さんが、気鋭の映画スタジオ「A24」が手がける新作『顔を捨てた男』について語ります。

「十人十色」の意味を考えさせられる

松本穂香

松本穂香

 今回、わたしがご紹介させていただく映画は『顔を捨てた男』です。  エドワードは顔に特異な特徴があり、周囲から好奇な目で見られていた。常に背中を丸め、息をひそめて生きてきた彼だったが、ある治療を受けたことによって、人生が変わり始める。  今回は少し感情的になってしまったので、観終えた直後そのままの言葉をお伝えさせていただきます。十人十色。ポジティブな意味で使われがちだけれど、同時に物凄く酷なことだな、そんな思いがよぎる映画だった。

幸福だと思える地点に辿り着くまでのスピードは違う

『顔を捨てた男』

『顔を捨てた男』より(以下同)

 わたし自身、自分は周りの人より成長するスピードが遅いと感じながら生きてきた。勉強はいつも皆より遅れていたし、何を始めるのも遅かった。周りのみんながメイクや洋服にとオシャレに目覚めていた頃、私はリップのひとつも持っていなかった。  そんなことに大人になってから気づいたりもした。それがなんだと言われれば、それ以上でもそれ以下でもないのだけれど、なんて苦しいことなんだと思う。自分はどこまでいっても自分なんだ。  そのことを幸福だと思える地点に辿り着くまでのスピードすら、人それぞれ違う。とにかく、キツくて、辛くて、どうしてこんな映画を作ったんだと泣きながら苦しむほかなかった。

情けないけど愛おしくも感じられる

『顔を捨てた男』 現時点で今の私にはまだ、この感情の正体が掴めないけれど、いつかの私はそれに気づくことができるんだろうか。  多分、背が曲がって、シワシワになった頃にふと受け入れられる日が来るんだろうな。  そう思うと、なんかそれすらも自分らしくって、情けないけど愛おしくも感じられる気がするな。
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「なんだこの胸糞映画は!」と思ったりもしたけど…
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