『べらぼう』に芸人ばかり出るワケ。話題作りだけじゃない、ドラマ業界の“キャスティング戦略”事情
2025年NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺』(NHK総合)が年末の最終回に向けて佳境を迎えています。江戸時代中後期に活躍した「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の人生を、脚本・森下佳子氏の丁寧で生き生きと描いたこの作品。
ストーリーもさることながら、連日ニュースサイトをにぎわせているのが豪華な出演陣です。ことに、お笑い芸人さんは毎回入れ替わり立ち代わり出演をしています。
これほど芸人さんが出演するドラマは、大河ドラマというくくりのみならず、地上波の連続ドラマの中でも珍しいことではないでしょうか。そこには“必然的”な3つの理由が考えられます。
なぜ『べらぼう』は芸人さんが多数出演するのか――単純に考えれば、まず第一に「話題作り」ということがあげられます。
テレビ番組関連のネットニュースは、視聴者からの「コタツ記事」などという揶揄がある反面、テレビ制作者側はTVerの再生回数に繋がることもあり、歓迎している傾向があります。
ネットニュース狙いの演出・仕掛けをしているテレビマンもいるとか。バラエティと違い、ドラマは事前に根回しするか、目を引くエピソードがないと記事になりにくいのです。
しかし、『べらぼう』は芸人の出演が発表されるたびに、大河×芸人という意外性もあり、ネットニュースやSNSをにぎわせることができています。しかも放映前に、です。
つまり、芸人さんをキャスティングするだけで、ドラマ自体を見ていない人も、「ちょっと見てみるか」と興味を持つことができ、視聴につなげることができます。
その後、服部半蔵役で出演した有吉さんのように、ラジオで意欲や後日談を語ってもらうことまでがセットです。非常に上手な話題作りの仕方であると言えます。




