頭痛と便秘との決別…アラフィフ女性が続ける「断糖高脂質食」8年間の奇跡
名医に通い、祈祷師に縋った。それでも消えなかった入院級の片頭痛を消したのは、牛脂と生クリームだった。「食事を変えただけ」――8年間続く奇跡の始まりだ。
糖質を断ち、脂質をたっぷり摂る「断糖高脂質食」。その実践者たちの間で「金森式」と呼ばれる食事法がある。提唱者は、断糖高脂質の書籍を多数執筆する作家の金森重樹氏だ。金森氏自身、わずか2か月で90kgから57kgへとダイナミックな減量を経験。Xや書籍で発信するメソッドはやがて「金森式」と呼ばれ、2月に上梓した新刊『なぜヒトは脂質で痩せるのか』は発売即重版となるほどの人気だ。

この「金森式」を8年間続ける女性がいる。さなさなさん(50代)だ。
「もともとふるさと納税の著書で知っていた金森さんが、あるときXでまるで別人のようにシュッとした顔を見せていて。断糖高脂質で大幅な減量に成功したと知り、興味を持ったんです」
そんな折、金森氏が調理アシスタントを募集する投稿が彼女の目に留まった。好機だと感じたさなさなさんは迷わず応募。断糖高脂質に基づいた料理の作り方を、直接教わりに行った。
「私自身は細身ですが、夫が肥満からの高脂血症になってしまって。夫婦でよいダイエット法を探していたタイミングだったんです。金森先生はドが付くほど理論派なので、理に適ったものなはず。何より、金森さん自身がすごく痩せたのを見たこともあって、学ぼうと思い立ちました」
食事の回数は1日に1.5回。メイン1食に、腹がすいたら副食のスープやゼリーでつなぐスタイルが基本だ。
「朝はコーヒーゼリー、日中は紅茶に生クリームを入れてロイヤルミルクティーにして飲んでいました。主食は18時前後に済ませます。メインは牛脂スープで、ステーキやしゃぶしゃぶなどの肉料理や、トロ部分の魚の刺身を食べていました。正直、お金はかかりますが、毎日の献立を考える身としてはなんてラクなんだろうと思いました」
食べられるものは限られ、調味料もぬちまーす、魚醤、アスコルビン酸の3種類だけ。続けるうちに飽きはくる。そのためにあれこれ工夫を凝らした。
「小松菜を生クリームで煮たり、高野豆腐を粉末にしてパン粉代わりにして、卵だけで泡立てたパンに肉を挟んで食べたり。おやつが食べたくなったときは、おからのクッキーを焼いたりもしました。ステーキ屋さんで外食するなど、環境を変えてみるのもよかったです」
糖質を徹底的に排除し、代わりに脂質をしっかり摂る――このシンプルなルールに、さなさなさん自身も当初は楽勝だと思っていた。だが、脂を食べるのは想像以上に辛い場面もあった。
「すき焼きで食べるときはおいしいと感じる牛脂も、割り下なしでそのまま食べようとすると、吐き気を催してしまって。ゆで卵の黄身に牛脂を吸わせたりして、体を慣らしていきました」
知識が不十分なまま実践した初期には、低血糖により体調を崩したこともあった。それでも探求の手を止めなかった。結果、夫は3か月で10kgの減量に成功。そしてさなさなさん本人にも、劇的な変化が訪れた。長年悩まされ続けた片頭痛と便秘が、さっぱり消えたのだ。
「入院するほど片頭痛が酷く、強い薬が手放せない日々。寝ているときも頭を車で轢かれる悪夢にうなされるほどで、家族にも本当に迷惑をかけていました。わざわざ新幹線に乗って名医のもとに通ったこともあります。『霊が憑いている』という祈祷師にお祓いを頼んだことも……それでも治らなかった片頭痛が、食事を変えただけで消えたんです。だから、金森式をやめるという選択肢は私にはまったくありませんでした」
低血糖を解消したのはMCTオイルやサプリメントだった。
「粉末のMCTオイルに加えて、ナイアシン、ビタミンB・C・D・E、マグネシウム、コエンザイムQ10、オメガ3、ラクトフェリンなど、いろんなサプリを摂るようになりました。糖質をしっかりと断つのは大前提ですが、そのうえで上質な脂を摂り、適切な栄養素をきちんと補うことも大切です。これにより、低血糖はそれ以降、一度も起きていません。今では体調が悪くなりそうだなと感じたら、どの栄養素を摂ればいいか自分でわかるようになりました」
夫は付き合いなどもあって途中でフェードアウトしてしまったが、さなさなさんはその後も8年間金森式を続けている。
「私がどれほど片頭痛で苦しんできたか、家族は一番よく知っているんです。だから、食卓で私だけ違うものを食べていても、誰も嫌な顔をしません。それがどれだけ救われることか。もちろん、私は私で食事を家族に強制することもありません。息子が管理栄養士なので、家族で支え合いながら、これからも続けていきたい」
金森式が目指すのは、痩せることではなく、健康な体を取り戻すこと。8年間やめられない理由が、そこにある。
<取材・文/桜井カズキ>














