女子は2歳から“女子”、男子も2歳から“男子”【シングルマザー、家を買う/26章・後編】

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住宅格差は5歳から

 たしかにありました、私の時代も。しかし、私の時代はクラスメイト全員が団地に住んでいたので、一軒家というのは完全に夢の世界の話だった。だからこそ、私も小学生の頃は賃貸ではなく、分譲の団地に住んでいる男子に嫁にもらってもらおうと思っていたのだ。女子って、5歳からすでに計算高い。怖いわ!  そして、れいくんは確かに素敵な一軒家に住んでおり、両親もとてもいいパパとママ。条件に不足はありません。れいくん、どうかうちの娘をもらってあげてください。マイペースですが、愛嬌のある娘だと思います。

女子は2歳から“女子”、男子も2歳から“男子”

 それにしても、女子は、2歳から“女子”である。  当時通っていた保育園で娘には第一次モテ期が到来し、このれいくんとたかくんという男子に好かれていた。しかも、それを完全に理解している娘は調子に乗っていたのだ。  さらに、男子も2歳から“男子”である。あるとき、小さな室内用滑り台で、早く滑りたい娘はたかくんの背中を押してしまったのだ。それにイラッとしたたかくんは、後ろを振り向いて怒りを爆発させようとするが、そこには意中の娘がいるではないか。  大好きな娘に怒るのは気が引ける。でもイライラした気持ちは抑えられない。ということで、隣にいた全く関係ないさやかちゃんに「おさないで!」と叫んだのだ。さやかちゃん、かわいそう過ぎる。あぁ、これは2歳も30歳も変わらないな……。人間、平等ではないのだな……。

娘の理想の父親

 そんな感傷に浸りながら、「彼氏じゃないよ、やせたのがうれしいの!」と話すと、つまらなそうに「ふーん」と答える娘。  あまりにもつまらなそうなので「じゃぁ、ママに彼氏ができるならどんな人がいいの?」と聞いてみることにした。  すると目を大きく見開いて、キラキラさせながらこう答えたのである。 「まつじゅんがいい!」  あれか。嵐の松本潤さんか……。ジャニーズ好きというわけでもないママのもとで育ち、なぜ松潤を知っているんだろう……。てか、私だってできるならそれがいいわ! シングルマザー、家を買う/26章・後編 絶対に期待に応えることができないだろう事案を胸に、「そうだね……」としか答えられないのであった。 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky※このエッセイは毎週水曜日に配信予定です。
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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