なにそれ、保険ってすごい!【シングルマザー、家を買う/28章・後編】

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保険ってすごい!

「今日はどうなさいましたか?」と優しく声をかけてきたお姉さんに席を案内された途端、私はシングルマザーであること、二人の子供がいること、フリーランスであることをマシンガントークで話し始めた。あれ、この状況、家を買うときのデジャヴ!?  すると、私からのたくさんの言葉の突風を受けたお姉さんは驚いた表情をしながらも、「では、その不安を取り除きましょう!」と私の女子プロ級の二の腕を掴んでくれた。よし、頼れる。  そこで紹介されたのは、まず、がん保険や女性疾患などの医療保険。これらはすべて掛け捨ての安いものにした。すると、お姉さんがおもむろに「貯金は出来るタイプですか?」と聞いてきた。 シングルマザー、家を買う/28章・後編 その問いに0.3秒もかからずに「できません」と答えると、「それなら貯蓄タイプで保険をかけましょう」と学資保険に変わる私の生命保険を紹介してくれた。これで、しっかり毎月払い込んでいけば、娘と息子が大学に行きたいと言ったときに、必要経費が戻ってくるようになった。  さらに、私はフリーランスである。これで入院でもしたら、有給も何もない私は無給になってしまう。子供たちは、一体何を食べたら!? そんな不安を解消するべく、収入保障の保険も紹介してくれた。さらに、私が死んだときは、子供たちにお金が振り込まれるような保険も紹介してくれたのだ。  そのとき、「子供に一気にお金が入ると、不安です」と答えた私に、それなら、二人がしっかりと生活できる月15万程度をそれぞれ成人まで受け取れる保険にしましょうと提案してくれたのだ。  なにそれ、保険ってすごい!

やる気と備えさえあれば、なんとかなる!

 結果として、私は7つの保険に加入することになった。完全に保険貧乏である。でも、入ったうちの8割は元金が割れない貯蓄タイプ。自分では貯金が出来ないことがわかりきっているので、私には合っているのだろう。  それに、私がシングルマザーであるうえに、病気になったり、死んだりすることで子供たちの未来を暗くさせたくはない。それなら、保険料くらいしっかり稼いでやろうじゃないか!(とはいっても月3万くらいだけど)  この保険に加入してから、少し心が楽になった。まぁ、医大や海外留学となるとさすがにNGがでるけど、大学や専門学校を親の都合で諦めさせるようなことはしたくない。そのために、保険料だけでなく、さらに学費を頑張って稼がなくちゃいけないなと思い直した出来事だった。  ほんと、次から次へとシングルマザーの悩みは尽きない。でも、高望みせず、やる気と備えさえあれば、何とかなるものだ。私は保険の証券を片手に、いつもより大きく一歩を踏み出した。 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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