激安の豪邸に住んだら、庭に白装束の人たちが現れた【シングルマザー、家を買う/51章】
<シングルマザー、家を買う/51章>
バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。
(前回のお話)
昔、夫の転勤に伴い、一家で地方の豪邸のような一軒家に住むことに。月9万円という安さに喜びつつも疑問を抱いた矢先、ベランダに血まみれの白いハトの死体を見つける。気味の悪さに怯えながらも、安さに惹かれてそのまま住むことにしたのだが……。
夢にまで見た庭付き一戸建てに引っ越してきてから1週間。早くも事件は起こった。
その日、新しい土地で仕事もなく、専業主婦として過ごしていた私は、元旦那を送り出すと、まだ2歳と0才だった子供たちと一緒に二度寝をすることにした。
すると、裏庭の方から“ガサッ”と音がしたのだ。何か動物でも通ったかなと思いながらも、寝ぼけている私はそのまま確認せずにうとうとしていた。
しかし次の瞬間、“ガサッガサッ”と、完全な足音が聞こえてきたのだ。
私が住んでいる家の隣は誰も住んでいない。向かいに家はあるが、裏庭にはバナナ畑があるだけで、そこに大勢の人が入ることなど考えられない。私はあわてて窓をのぞくと、そこには真っ白い衣装に身を包んだ女性が10人ほど中庭に入ってきているではないか。
「え! え!?」
私は事態を把握できない。
きっと、誰だって白装束の人たちが庭に入ってきたら、足がすくんで、それ以上のことなんてできないはずだ。
警察を呼んだ方がいいのか、はたまた、刺激をしないように話しかけた方がいいのか……。私はとりあえず後者を選んだ。
「あの……、何をしているんですか?」
すると一斉に女性たちがこちらを見て、なにか含み笑いをしている。
怖い。怖すぎる!
すると、1人の女性が口を開いた。「すぐ終わるから」と。え、何すんのよ、人んちの庭で!
あまりの恐怖に立ちすくみながらも彼女たちを見ていると、なにやら庭先にある石を拝んで、1人ずつ去っていったのだ。
え、何? 墓石!? まったく正解がわからない。
白いハトの次は白装束
1
2
『シングルマザー、家を買う』 年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える! シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。 |