一方で、マスク作りに挑戦して失敗した人も。広島県でデイサービスを営む男性は、職場がマスク不足で布マスクを作ろうとした。
●ペットボトル

「硬いものから柔らかいものまで試しましたが、マスクはやっぱり布じゃないとダメだと痛感しました。笑ってもらうにはアリです」
「布以外を素材にできないか?と思い、中国人がペットボトルでマスクを作っているのを真似してみました。画期的だと思って職場で勧めたのですが、息苦しいと不評でした(笑)。今では笑いを取る小道具と化しています」
●靴下


「ハサミで切ったらほつれてヘニョヘニョに……。安物だったのがよくなかったかも。嫁さんが爆笑してくれたのが救いです」
マスクの創意工夫は、新商品も生んでいる。富山県にある下着メーカーのあつみファッションはSNSでブラジャーマスクを投稿。
●ブラジャーマスク

「男女関係なく問い合わせが殺到しています。手作業で作っているので量産は難しかったです。一日あたり200枚生産しています」(広報)
「当初はマスク不足の地元の氷見市から依頼を受けて製作していたのですが、あまりにもネットの反響が大きくて商品化しました」

アクセサリー会社のマルラニハワイはマスクチャームを販売。顧客のリクエストを元に開発。プレゼントで購入する人が多いそうだ
アメリカで誕生したマスクはユニークだ。柄マスクのその模様が、よく見るとペニスのイラストになっているというペニスマスク。一見ジョークと思えるが、「このペニスの柄に気づいた人は近づきすぎ」という“社会的距離”を空ける意味が込められているのだ。
●ペニスマスク

マスク作成者はアメリカの医療ソーシャルワーカー。要望を受け、1つ20ドル(約2100円)で販売。既に売り切れ状態になっている
マスク不足が引き起こしたマスクの多様化。さまざまなマスクが生まれ、マスクは進化を遂げている――と締めくくりたいが、医学博士の大西一成氏によれば「進化ではなく後退」と残念そうに語る。
「昨今は、高性能フィルターのマスクが当たり前になっていましたが、コロナ流行を境に、口を覆えばいいという短絡的なマスクの認識が広がってしまった。ただ、マスクをしない状態よりマシ。一部の大きな飛沫を飛ばさない、喉を保温することは期待できます。ですが、フィルター機能と顔へのフィットがなければ、ウイルスを防げないので過信は禁物です」
マスクがあってもウイルスから身を守る意識は崩してはならない。