外出自粛で実はよかったこと。おカネが貯まった、肌の調子がいいetc.
無料配信をきっかけに落語にハマった
密は禁止でも、家族の心の距離が「密」になれた
おうち時間が増えたことで、家族と過ごす時間も当然長くなっています。ずっと家族と一緒にいることでケンカが増えたりといったネガティブなニュースも多いですが、一方でこんな声もあります。
「リモートワークが続くなか、休校中の小学5年生の娘と一緒に家事をする機会が増えました。最初はめんどくさがっていた娘ですが、家で仕事をしている姿を見せたおかげか、仕事と家事で手いっぱいの母親の負担を減らそうと、積極的に料理や洗濯を覚えてくれるようになったんです。この前はレンジでできるポーチドエッグに、ちぎったレタスとプチトマトのサラダ、コーヒーの朝食が用意されていて感動しました……! この2か月で娘が急激に成長したなと感じます」(42歳女性・出版)
一緒に住んでいる家族以外にも、コロナをきっかけに「遠方に住む両親の体調が気になって、頻繁に連絡するようになった」「親戚や家族が、一人暮らしの自分を心配してよくビデオ通話をかけてくる」と、家族間のコミュニケーションが密になった人たちも多いようです。
「就職を機に上京してからは、仕事が忙しかったのと、昔ながらの家族観を押し付けてくる母親と話すのが億劫で、帰省は数年に一回、お盆や正月に電話をする程度の仲だったのですが、コロナをきっかけに一変しました。実家は福岡で、私は東京。どちらも感染者が多い地域だったので、2日に一度はお互いに『体調はどう』『何か変化はないか』と近況報告を交えてビデオ通話をしています。頻繁に話しているので近況報告なんてほとんどないんですが、母親が『顔を見られるだけで安心する』『こんな状況で語弊があるかもしれないけど、うれしい』って終始ニコニコしてるんですよ」(32歳・営業)
以前は、何かあるとすぐに『仕事の調子はどう?』『貯金はしてるの』『誰かいい人はいないの』『女が30過ぎて独身でいいと思ってるの?』などと聞かれることが多かったそうですが、電話の回数が増えたことでその質問は激減したそうです。
「もう本当に鬱陶しかったですよ(笑)。でも今は頻繁に会話しすぎて、あまり聞いてこなくなりました。それまで滅多に話す機会がなかったから、話せるときに怒涛の勢いでまくし立てていたのかもしれませんね。いままで母親との間に頑なに壁を作っていたのが、コロナをきっかけに雪解けが訪れたような気がします」
親の鬱陶しさを許せたり、改めてありがたみがわかったりするのもこんな状況だからかもしれません。
5月14日には39県で緊急事態宣言が解除され、都市圏の解除ももう少しと言われています。ですが、宣言が解除された後も、引き続き不要不急の外出は当面避けたほうがよいですし、コロナとの戦いは長期戦になることは間違いありません。長期戦を戦い抜くためにも心の余裕が大事。このような非常事態だからこそ、ときにはプラスに見られる視点も大切なのかもしれませんね。
<取材・文/青山ゆずこ>青山ゆずこ
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird
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