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大人気の韓国ドラマ「愛の不時着」は「あまちゃん」的存在?!その理由は…

主人公が知っていく流れとつながって北朝鮮の生活への先入観を覆していく

 韓国と北朝鮮を舞台にしたラブストーリーは単なるスイーツにとどまらず、ときに緊張感もはらむ。韓国に帰りたいユン・セリが命の危険にも晒(さら)されていくサスペンス展開も。アクションシーンは本格的で男性視聴者の目を引くものになっている。  北朝鮮への取材も行われ、未知なる生活様式を再現してみせることで、そこに暮らす人、軍人として従事している人への外部からの一面的な先入観を覆(くつがえ)していく。それは、ユン・セリが知らなかったことをじょじょに知っていく流れともつながっている。
 物質的に恵まれながらもどこか拭えない喪失感を抱えた女が、北朝鮮に迷い込み、しょっちゅう停電にあったり、満足なコスメがなかったり、ネットができないなど不自由を味わいながら、堅物イケメン軍人と、気のいい部下たち、近隣の主婦たちと、祖国・韓国では味わったことのないあたたかくユーモアのある交流を通して、心の欠落を埋めていく。  印象的なのは、ネタバレになるが、中盤、負傷したリ・ジョンヒョクにユン・セリが輸血するエピソード。両者は同じ人間同士なのである。

韓国ドラマへの先入観を超えて、その先のドラマへ

 韓国との情報が絶たれていることや、家族から離れ10年もの兵役があることなど、北朝鮮の社会問題を念頭におきながら、政治的な視点によらず、そこに生きている人たちの恋や笑いや友情を丁寧に描いている。  リ・ジョンヒョクの部下のひとりキム・ジュモク(ユ・スビン)は韓国ドラマのファン。仕事をさぼってドラマを視ることもある。そんな彼にいつかチェ・ジウと会わせてあげると約束するユン・セリ。  キム・ジュモクのハマってる10年前の韓国ドラマのスタイルこそ、韓国ドラマファン以外の者たちの韓国ドラマへの拭えない先入観であり、「愛の不時着」はその先のドラマを作っていると宣言しているかのように思う。
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すっかり身も心も「愛の不時着」世界に慣れて…
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