大人気の韓国ドラマ「愛の不時着」は「あまちゃん」的存在?!その理由は…
すっかり身も心も「愛の不時着」世界に慣れ、びっくり展開にも前のめり
婚約者と実業家のちょっとひねた感じも好感がもてるし、ソ・ダンのお母さん(「パラサイト半地下の家族」にも出ているチャン・ヘジン)も場を盛り上げる。正直言うと、ライバルが出てきたあたりからは、メインのふたりが近づいたり喧嘩したり、ユン・セリが韓国に帰れそうで帰れなかったり、ご都合主義的に問題が勃発し、そこはいかにも韓国恋愛ドラマ調(朝ドラをはじめとする日本の通俗的ドラマもそうですが)。
でも、俳優たちの芝居が皆、巧いし、序盤で笑ってもいいという空気が提示されていたこともあって気軽に見ることができるし、テンポが早く、次々にシチュエーションが変わり、場面場面に力が入っているので、赦(ゆる)せてしまう(ナニ様)。5、6話まで一気に見て慣れてしまったともいえる。
そもそもふたりには実は……というびっくり展開、これぞ韓国ドラマの真骨頂! があるのだが、すっかり身も心も「愛の不時着」世界に慣れて、いつしかユン・セリとリ・ジョンヒョクの背景がやたらキラキラしたラブシーンを前のめりで視ているのである。その誘導の手腕たるや、おそるべし。 いまだに韓流ラブストーリーは……と様子見している人は、その偏見を超えるべき。そう、国境を超える愛のドラマ「愛の不時着」は、あらゆる偏見を超えるドラマなのである。 <文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami


