結婚を機に彼女は別の営業所へと異動、新婚生活はそれなりに楽しかったという。
「仕事帰りに待ち合わせて食事をして一緒に帰宅。幸せでした。2年ほどたって妊娠、産休に入ったころ、実は彼の浮気が発覚したんです。相手は例の彼女。ふたりは結婚後も関係が続いていたんですよ。そのショックで私は産気づいて、子どもは少し早く産まれてしまいました。悔しくて悔しくて、赤ちゃんを抱いて泣きましたね」
夫が駆けつけてきたとき、彼女はそのまま追い返した。子どもを抱かせたくなかったのだという。彼女の母や義母がいる前で、夫を罵倒をもした。
「義母に、母親になったのにそんなに情緒不安定だったら、ますます男の気持ちは離れるわねと言われてまた激怒。母が『帰っておいで』と言ってくれたのに救われました」
退院後、子どもを抱いてそのまま実家へと向かったアサヒさん。一度も子どもを夫に会わせることなく離婚したという。

あれから2年。
「今思えば、そもそも相手選びを間違えました。彼は結婚相手にはしないほうがいいタイプ。やはり火のないところに煙はたたない。彼の女性についての数々の噂は本当だったようです。仕事はできるのに、女には本当にだらしないというか見境ないというか。そこに嫉妬の炎を燃やして結婚を迫ったのも私の失敗でしたね」
ただ、営業所は別とはいえ、ふたりは同じ会社に勤めている。顔を合わせることはないが、情報は入ってくる。
彼は今も独身、例の彼女とはいつの間にか別れていたのだろう、彼女は会社を辞めて田舎に帰ったとか。気軽につきあえる女性を同時並行的に何人か手にしておきたいというのが彼の本音なのだろうとアサヒさんは思っている。
「娘も2歳半になってかわいい盛り。でも彼は娘の顔も知らない。何度かせめて写真でもと義母から連絡がありましたが無視しました。それがせめてもの私の夫への復讐でしょうか」
イケメンでマメでやさしい男であっても、もちろん浮気などしない人もいる。モテる男とつきあったときは、彼にどれだけ追わせるかという高等テクニックが必要になるのかもしれない。
―シリーズ「結婚の失敗学~相手選びの失敗」―
<文/亀山早苗>
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