映画で残酷なシーンを観たからといって、すべての子どもに悪影響を及ぼすわけではありません。ですが、悪影響を受けてしまう子と、受けない子では、「家庭環境に違いがある」と澤田先生は言います。
「悪影響という点でいえば、子どもが反社会的な行動をとるようになる家庭の特徴がいくつかあります。
1つ目は、
家庭内でのルールの欠如です。食事や他の活動において一定の決まりごとがなく、子どもがしてもいいこと・してはならないことが明確ではない。家庭内のルールがない家庭では反社会的な行動が多くなると言われています。
2つ目は、
両親が子どもの行動を把握していない場合です。子どもが今まで何をしてきて、何を感じているか知らない。子どものことに関心がない状態です。
3つ目は、
一貫性の欠如です。望ましくない行動をとった場合に、それに対して首尾一貫しない対応をとる。ある時は叱って、ある時は褒めてみたいな。いけないことは常にいけないと一貫して伝えていかないと、子どもが混乱してしまいます。
4つ目は、
家庭内の問題解決の能力です。問題が起きた時に円満に解決することができない状況が慢性的にみられる環境があると、反社会的な行動が多くなります。
もしこういった望ましくない家庭環境であっても、一方の親との関係が良好であれば、子どもの情緒は安定すると言われています。例えばお父さんに叱られた後に、お母さんがフォローしてあげるような役割分担があれば、少し安定していきます。
それから、多少家庭環境が悪い場合でも、学校でうまく適応できていたり、スポーツや習いごとで得意なことがあると影響が軽減されます。子どもの得意なことをつくっていくことが大事ですね」