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Vol.17-1 妻に浮気された夫、慰謝料請求しても1600万円の赤字になった落とし穴

ぼくたちの離婚 Vol.17 わが子を、わが手に #1】

「結婚してくれなければ別れる」に押し切られ…

 大手電機メーカーに勤める谷口和成さん(仮名/48歳)と、都心のカフェで待ち合わせたのは、平日の夜。現れた谷口さんは、カジュアルなサーフ系ファッションに身を包んでいた。ついさっきまで、公園の芝生で子どもたちとフリスビーでもしてきたかのような、爽やかな出で立ち。リモートワーク中で自宅から直接来たという。  谷口さんが1つ年上の明子さん(仮名)と結婚したのは20年前、谷口さんが28歳、明子さんが29歳の時だ。当時の明子さんは、大手金融機関に勤めるキャリアウーマンだった。  出会いは合コン。明るく社交的、くっきりした顔立ちの美人で、自分の意見をはっきりと言う明子さんに、谷口さんは心を奪われた。2年半にわたる交際ののち、結婚。まだ20代だった谷口さんに結婚する気は皆無だったが、明子さんに「30歳までに結婚したい。結婚してくれなければ別れる」と言われ、半ば押し切られた。
ぼくたちの離婚 Vol.17

写真はイメージです(以下同)

「ベチョベチョして気持ち悪い」

 谷口さんは、結婚当初から子供が欲しかった。 「結婚願望はなかったけど、すごく子供を育てたかったんです。自分のコピーを作りたいとか、谷口家のDNAを存続させたいとか、そういうことじゃなくて。僕、電車の中で走り回ってる、見知らぬ他人の子供でもすごく愛しいと思うんです。次世代に自分の経験や知識を伝えたい欲、とでも言うのかな」  しかし当時の明子さんは仕事が乗りに乗っていて、子作りに前向きではなかったため、谷口さんは待った。そして結婚生活が4年ほど経過した頃、明子さんが関わっていた大きなプロジェクトが終わる。谷口さんはいい機会とばかりに、旅行先のホテルで子作りを迫ったが……。 「ゴムをつけないで迫ると、『つけて』と言われました。理由を聞いたら、『ベチョベチョして気持ち悪いから』と。僕、そんなにナイーブではない人間なんですけど、その時はさすがに凹みました」 ぼくたちの離婚 Vol.17 これをきっかけに、ふたりはセックスレスとなる。とはいえ、明子さんは「絶対に子供が欲しくない」と言っていたわけではない。子作りに関して、ふたりの考え方がずれていたと谷口さんは振り返る。 「僕は確実に子供が欲しかったので、計画的に子作りをしたかったんですが、明子はそういうシステマチックなやり方が嫌だったようです。セックスレスになって数年後、明子は当時話題になった厚生労働大臣の発言を引っ張って『計画的に仕込むなんて嫌だ。私は子を産む機械じゃない。欲しいんだったら毎日すればいい』と言っていました」  しかし毎日もなにも、最初に子作りを拒んできたのは明子さんのほうではないか。だが谷口さんは、明子さんを責める気にはなれなかったという。セックスレスを解消するためになんの手も打てない自分の不甲斐なさに、罪悪感を抱いていたからだ。
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妻の携帯に大量の“浮気メール”が…
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