コロナ禍で「死にたい」人々と向き合う心療内科医の願い。穏やかに暮らすための対策4つ
今年の7月以降、自殺した人の数が4か月連続で増えていて、今年10月は全国で合わせて2153人で、去年の同じ時期より614人増えました。
警察庁によりますと、10月に自殺した人は男女ともに増加傾向ですが、女性の急増が目立つといいます。国は新型コロナウイルスの影響などについて分析するとともに、自殺を防止する対策を進めています。
『NOを言える人になる 他人のルールに縛られず、自分のルールで生きる方法』を著した秋葉原saveクリニック院長・鈴木 裕介(すずき ゆうすけ)医師によりますと、自身の病院で心療内科の患者数は約2倍になったといいます。
こうした状況の中、私たちはどうやって自身の心を守ればいいのか、周囲の人と助け合えばいいのか、安心をつくれるのか…近親者の自殺を経験し、「死にたい」「生きづらい」と苦しむ人々の心の問題と向き合う鈴木医師が、現況を解説し4つの対策を提案します。
個人が感じる「安心」の感覚の違いから、コミュニケーションに摩擦が生まれやすくなります。例えば、コロナの感染対策をどこまでやれば安心かは、夫婦や友人間でも「もっと気をつけてほしい」「このくらいで」と安心の感覚は個人差が大きく、そうした主観の差から人間関係が悪化しやすい状況になっています。
安心や不安に対する感覚のずれ、お互いが求める距離感の違いはもともとあったものですが、それが環境変化のストレスや孤独感などから表面化しやすくなってきているのです。心の健康のためには家族やパートナーなど親密度が高い対人関係ほど、良好であるのが望ましいのですが、その関係維持がとても難しくなっています。
例えば、うつ病の女性が来院する直前6ヶ月の出来事として最も多く話されるのは「夫婦間の問題」であるという報告がありますが、身近な対人関係と心の健康の関連を示すデータは他にも数多くあります。
コロナ以降、心療内科にかかる人が大きく増えました。その特徴として、「世界への不信感」を訴える方が増えたように感じています。
仕事の不安、上司部下との人間関係、恋愛、結婚といった具体的な悩みに苦しんでいる方も多いのですが、それとは少し毛色の異なる漠然とした絶望感、「生きることが疲れた」「こんな世界で生きていても仕方がないよ」といった、今自分が生きている世界そのものへの不信感ともいうべき心情が多く見られています。
コロナによる情勢不安で明るい展望も見えにくく、また医療職や感染者への差別や、SNS上での言い争いなどを目にして、まったりとした人間不信になっている方もいるかと思います。
そうした出来事によって今自分が生きている世界への信頼が揺らぐと、「前向きに何かを積み重ねていこう」という意志は削がれていき、無気力・心身の不調につながっていきます。
こういった状況の今、鈴木医師による4つの対策をご紹介します。

【状況把握①】対人関係が悪化しやすい
【状況把握②】「こんな世の中で生きていても仕方ない」という不信感
