Lifestyle

コロナ禍で「死にたい」人々と向き合う心療内科医の願い。穏やかに暮らすための対策4つ

【対策その①】できるだけ誰かと雑談をしてほしい

新型コロナ、マスク、ランチ、お茶、カフェ、女性2人 雑談とはいわば、「コミュニケーションのためのコミュニケーション」です。  動物の「毛繕(けづくろ)い」のように、人間は雑談をすることで、相手の存在を確認でき、安心感が強まります。  会社や学校での雑談、ムダと思っていた職場の飲み会、実は私たちは雑談をすることで相手と自分の存在を確認していました。直接会って雑談をするのが大切だったのです。  今では人と会わず、ZOOMなどでの打ち合わせが増えました。しかし、ZOOMでは「触覚」「嗅覚」が働きません。  嗅覚は、例えば「懐かしい匂い」といったように、人の感情や記憶と非常に強く結びついています。また触覚も「手当て」という言葉があるように、絆ホルモンと呼ばれるオキシトシンを介して人の安心感に非常に強く関連しています。  人は相手のにおい、しぐさ、雰囲気、ふれあいを五感を通して感じることで安心を得ています。今はいつも以上に気のおけない家族、友人とできる限り雑談をしてください。

【対策その②】テレビ、SNSから1週間離れる

コロナ禍、リモートワーク、マスク、パソコン仕事 コロナは「ソーシャルな病」でもある、と考えています。  感染症としての致死性とは別に、社会的な影響力や対人関係への影響力の強さがそう考える所以(ゆえん)です。コロナ禍において「情報量の多さと不安の量は比例する」と内科医の國松淳和先生が指摘されています。  人は、不安だから、テレビやSNSで情報を求めようとします。  しかし、コロナに対する不安を根本から払拭(ふっしょく)するような情報は残念ながら存在しません。不安をあおるような情報を摂取しつづけることは、まるで工業地域の水場の毒素を体内に溜め込んでしまう魚のように、不安を蓄積させていくことにつながります。  そうして溜め込んだ不安が、SNSやメディアを通して際限なく他者に伝播していくことに「ソーシャルな病」としての恐ろしさがあります。  正しい情報を得ることはもちろん重要ですが、もし「情報によって不安になっているかもしれない」と思った方は1週間くらい断ってみることをお勧めしています。  患者さんでもテレビ、SNSからうまく距離をとって心の平安を取り戻した方は数多くいらっしゃいます。
次のページ 
夜、布団の中で考え事をしない
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ