それから2年ほど経ったある日、予想外の出来事が。いつものように彼と駅で待ち合わせをしていると、目の前に夫が現れました。
「私の様子がおかしいと感じて、スマホを見たみたい。彼と鉢合わせてしまい、不倫していたことがバレました」
3人は近くにあったカフェへ。彼が学生だったため、夫は慰謝料などの請求はせず、「今後一切、会わないと約束してほしい」とだけ求めたそう。彼はその場で深々と謝り、「もう二度と会わない」と約束。お互いの連絡先も、その場で削除しました。
「帰宅後、夫は私に『何か不満があったら言ってほしい。離婚する気はない』と言ってくれました。その寛大さに触れて、改めて、この人を裏切ったことの重さを実感しました。これを機に、ちゃんとした妻になろうって思いました」
しかし、それから半月ほど経った頃、些細なことで夫と喧嘩をしたみなみさんは再び彼と出会ったマッチングアプリを使用。もしかしたら彼とまた出会えるかもしれない、という淡い期待も抱いていました。
画面をスクロールしていると、真夏だったにも関わらず、イルミネーションをアイコン設定している男性が。その写真は、2人で初めてイルミネーションを見に行ったときにみなみさんが撮影し、彼に送ったものに見えました。もしかして……と思い、男性のプロフィールを見てみると、「この光景を一緒に見た人にまた出会えますように」との言葉があったのです。
「それを見たら、もうダメでした。すぐに連絡を取り、また元の関係に戻ってしまったんです」
それからも何度か彼と離れようとはしてみたものの、結局、決別することはできず……。
「テレビで芸能人の不倫謝罪会見を目にするたび、こんな関係はやっぱりいけないと感じて別れを切り出したこともありましたが、彼から嫌だと言われたり、連絡が来たりすると、やっぱり離れられない」
しかし、自分と付き合う先に幸せはないと分かっているからこそ、彼のためにもきっぱり別れるべきだとも感じています。
「正直、夫にはもう恋愛感情はありませんが、経済力があり、一緒に暮らしていくパートナーとしては最高なので、離婚する気はありません。それでもいいと彼は言いますが、彼が幸せになるには独身の子を見つけたほうがいいし……とも思います」
もしかしたら、私はどちらのことも都合よく使っているだけなのかもしれない――。そう語るみなみさんが曖昧な関係にピリオドを打てる日は、まだまだ遠そうです。
<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291