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「子どもの症状、ググって不安に…」医療デマを見分ける方法を小児科医に聞いた

個人ブログは話し半分で読むように

――医療情報を見極めるために必要な心構えとは何でしょう。 森戸:特にネットの場合は、誰が言った発言なのか、その人の立場を確かめてほしいです。例えば、ブログの育児情報。一人のお母さんが話しているのであれば、それは、そのお母さんとお子さんでうまくいったことに過ぎません。治療法や育児法は、そういう人もいるんだなというくらいの話半分で聞いてほしいです。  医師の話もどういう医者なのかを見てください。例えば、国公立病院や公的機関、学会の人間として発言しているか、個人として発言しているかチェック機能に大きな違いがあります。 ――個人サイトやウェブメディアを見分ける具体的な方法などあるのでしょうか。 森戸:私の個人的な見分け方をお話します。母乳や睡眠について断定的なことを根拠なくいっているサイトはだめです。例えば「母乳の質はこのサプリメントを飲んだら改善する」と特定の商品を購入するように誘導する。こんな内容が1ページでもあれば、そのサイトやメディアの信頼性が低いことは推して知るべしです。  母乳の質は少し食べなかったり、寝たり寝なかったりで、大きく変わりません。「なにか特定の成分を摂取したら、改善する」というのは嘘の情報です。編集や校正が機能していないと思ってもらっていいでしょう。  ただ、一般の方がネットの医療情報の真偽を完璧に見分けるのは難しい。先程、医師の中にも医学的に正しくない主張をする人間がいると言いました。今回のテーマや最近の状況から言えば「予防接種はいらない」「薬はいらない」とか。こういう主張をする人間は、医師の中ではごく少数です。  ですが、ネットで検索すると、誤った主張も正しい主張も同じくらいの数が検索結果に出てきてしまう。一般の方からは五分五分のように見えてしまうのではないでしょうか。ネットだけに頼るのは限界があると思います。

信頼できるのは官公庁や学会のホームページ

――そんな中で頼りにできるネットの医療情報の情報源にはどういったものがあるでしょう。 森戸:官公庁や学会のホームページを利用してください。そういったものは、多くの専門家の目に触れていますし、誤りがあれば批判され、是正される。一番間違いがありません。例えば、厚生労働省は一般の方向けに離乳食のガイドラインを出しています。小児外科学会では鼠経(そけい)ヘルニアについて、Q&A方式で悩みに応えています。
こどもの救急

「こどもの救急」トップページ

 それから「こどもの救急」という日本小児科学会が監修しているアプリとウェブサイトもいいでしょう、発熱、頭を強くぶつけたなど症状を選び、「吐いている」「意識がない」「年齢」といった具体的な状況をチェックしていくと「救急車を呼びましょう」「お家で様子を見ましょう」と指示を出してくれます。#8000(子ども医療電話相談事業)に連絡をしてもいいのですが、つながらない場合もある。気になる時に、サービスを使うのも悪くはないかと思います。  後は、かかりつけ医に相談してほしい。医師としてはこれが一番いい選択肢だと思っています。「ネットでこんな情報を見た、不安」という相談でもなんでもいいので対面で話を聞いてください。基本、小児科医は何を聞いても馬鹿にしません。仮に馬鹿にするのであれば、そんな医師は変えたほうが良いのではないでしょうか。  予防接種や乳児検診の機会に「この先生にはなんでも相談できる」という方を見つけて、相談してみてください。 <取材・文/柳洋> 【森戸やすみ】 1971年、東京生まれ。1996年、私立大学医学部卒。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、どうかん山こどもクリニックを開業。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』など
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