『ミッドナイトスワン』『Fukushima 50』日本アカデミー賞受賞への大疑問
原発事故が起きた原因や責任についての追及がない『Fukushima 50』
日本アカデミー賞は、東日本大地震による福島の原発事故を題材とした『Fukushima 50』に対しても、助演男優賞、監督賞など複数の賞を授与している。この作品は、事故当時の切迫した状況や、原子力発電所の所員たちの事故対応への決死の覚悟を描く内容だ。本作は当初、故・津川雅彦が持ち込んだ企画だったという。
『Fukushima 50』が批判されているのは、原発事故が起きた原因や責任についての追及がない点である。もちろん、最優秀助演男優賞を受賞した渡辺謙が演じた、福島第一原発の所長・吉田昌郎をはじめ、所員たちの努力や功績は認められるべきものがあるが、そもそも所員が死を覚悟しなければならなかったのは、安全対策への義務を怠っていた東京電力の経営陣であり、2011年までに有効な対策を打たなかった政治にあるのではないか。
事故当時の政権は民主党であり、もちろんこの事態が起こった責任の一端を担わなければならないが、2006年の時点で「全電源喪失はありえない」として、野党による原発の地震対策への提言を拒否していたのは、自民党・第一次安倍内閣の安倍晋三首相自身だった。本作は、この前提が欠落し、所員たちの努力や犠牲を美談としてのみ語るのである。
「Fukushima 50」放送まで、
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) March 12, 2021
あと2️⃣時間。
未曾有の大地震と津波に襲われた福島第一原発…。最悪の事態を防ぐための現場に踏みとどまった作業員たちの決断とは…⁉#金曜ロードショー#Fukushima50 pic.twitter.com/7GGaRGn2kI



