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『ミッドナイトスワン』『Fukushima 50』日本アカデミー賞受賞への大疑問

常軌を逸した原作者の発言が問題視されている

『Fukushima 50』の原作者・門田隆将は、過激な保守主義者として知られ、現在の野党に対して攻撃的な発言を続けている人物である。このことから、著作に政治的な意図が反映されているのは、ある意味当然といえよう。問題は、政治的信念を押し通そうとするあまり、その言説が常軌を逸したものになっているという点である。
 最近は、米大統領選において、集計システムなどを利用してバイデン陣営が不正を行なっていたとする「選挙不正デマ」を拡散し続け、先の「愛知県知事リコール不正問題」についても、リコール陣営に知事側のスパイがいる可能性を強調するなど、メディアやSNSで多くの人を混乱させる複数のデマを広げていることが問題となった。このことを、日本アカデミー賞協会は理解していたのだろうか。

悪役のように描いた首相は実名を避けフィクションに逃げた?

 映画版で異様なのは、劇中にて英雄として描いた吉田所長などは実名で登場させながら、原発事故当時の首相・菅直人については、映画版では実名を避けていることだ。  ここでは、原作よりもさらに踏み込んで、首相が現地に乗り込んできたことが作業の遅れる要因となったということをはっきりと描いている。このように、まるで悪役のように描いたからこそ実名で首相を登場させることを避けたのだろうが、逆にいえば、訴えられるリスクを念頭に置き、フィクションとして逃げられるようにしているとも受け取れる。  実際にあった出来事を題材に、実名の登場人物と仮名の登場人物を混在させ、一部分をフィクションとして描くというやり方を選んだのだとすれば、誤解を広めるおそれがあると批判されても仕方がないのではないか。
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偏見をさらに助長させてしまう可能性も
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