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知らない相手にGPSで監視される…ストーカー、法で規制できない手口の恐怖

「恋愛のもつれ」が前提の法律では不十分

 見も知らない人につきまとわれる恐ろしさは、恋愛関係にあった相手が豹変するのとはまた異なる恐ろしさがあります。 ストーカー そして、これの何が問題かというと……ストーカー規制法が「つきまとい」と認定するのは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で違法行為が行われた場合だからです。  つまり、自分がまったく知らない、恋愛感情があるのかどうかもわからない相手が加害者だった場合……法律はわたしたちを守ってくれないのです。

加害者の治療が必要なわけ

「ストップ!つきまといプロジェクト」調査チーム代表の荻上チキ氏はこう話します。 「今回の法改正は重要な一歩です。ただ、調査結果からも、すでにさらなる改正の必要性が浮き彫りになります。具体的には、『恋愛要件を撤廃する』ことと『加害者の治療を義務化する』ことです。  今の法律では、ストーカーはあくまで恋愛感情に基づくものとされていますが、実際には、恋愛以外のストーカーも多いのです。客からのつきまといや親の監視、逆恨みや嫌がらせ目的のつきまといは、法の対象外で、接近禁止命令が出せません。なので、恋愛以外のつきまといも、法的に対応が必要です。  そして被害者が安心できる状況を作るためには、加害感情がなくなることが重要です。そのためには、現在の懲役や罰金だけでなく、加害者を治療につなげるルールが必要となります。 『今の法律では守ってくれない』なら、『守ってくれる法律に変える』ことが重要です。国会での、法改正の議論に対して、多くの人に注目して欲しいですね」 【関連記事】⇒ストーカー被害に悩んだ作家・内澤詢子さんが語る「ストーカーという病気」から逃れるには ※1 ストーカー行為等の規制等の在り方に関する有識者検討会 「ストーカー行為等の規制等の在り方に関する報告書」令和3年1月 ※2 本プロジェクトは元交際相手からのストーカー被害に遭い続けた作家の内澤旬子氏が発起人となり、評論家の荻上チキ氏らも進めているプロジェクト。 ※3 調査対象:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の20~59歳の男女 調査期間:2020年12月~2021年1月 実施プロセス:調査会社(GMOリサーチ)を通じて、都県ごとに性別・年代ごとに人口分布に比例する形で目標サンプルを割り付け、登録モニター158,092人に調査への参加を依頼し(アタック件数)、目標サンプル9,000人に達するまでスクリーニング調査を実施。同意項目に同意した: 6706人 <文/鈴木靖子>
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