Love

初めての恋はW不倫。40代男性の恋の泥沼を終わらせた息子の一言とは

息子の一言で恋心は消えていった

 息子の態度は明らかに変わった。妻は「あの子、何かあったんじゃないかしら。あなたから聞いてよ。心配だわ」と言い出した。 「息子と話しました。ホテルへ行くつもりではなかったこと、近道だから駅まで行くのに通っただけだということ。  息子は信じてはいなかったでしょう。でも『オレは何も言わないから。お母さんを泣かせるなよ』と」 義父にはじめて直接的に歯向かった ヨシフミさんの恋心は、その息子の一言で泡のように消えていった。彼女が「離婚」を本気で考えていることも恋を萎えさせるにはじゅうぶんだった。 「私は恋をしていたはずなのに、いつの間にか結婚生活を脅(おびや)かされていた。それはすでに恋からは逸脱していたんですよね。  ケイコにはもうつきあえない、妻が病気だと嘘をつきました。彼女は『いつまでも待ってる』と言ってくれたけど、もう会うつもりはありません」

ヒヤヒヤビクビクしながら暮らしている

 会社にも妻にも今のところはバレていないが、彼女が会社に乗り込んでくる可能性も、息子が母親にぽろりと漏らすこともあり得ないわけではない。 「毎日、ヒヤヒヤビクビクしながら暮らしています。まだ定年まで15年以上あるし、仕事を失いたくない。  こうなって初めてわかりました。やはり私は恋などしてはいけなかったんだ、と。  あの濃密な半年間は楽しかった。別の理由で彼女とすっきり別れていたら、恋は恋として思い出になったかもしれないのに……。いい年した大人の恋は、思っていたよりずっとむずかしい。そう思います」  守るものがある人は、もっと緻密(ちみつ)に恋を進めるべきだったのかもしれない。 【他の回を読む】⇒「シリーズ40代の恋」の一覧はこちらへ 【他のエピソードを読む】⇒「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ <文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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