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南明奈さんの一件で考える「流産の後、医師の一言に絶句した」励ましがつらいことも…

「次があるよ」はつらい

 とはいえ、流産した直後は事実を受け止め、その悲しみに向き合えるまでには時間がかかります。期間には個人差があるため、「数か月経ったから大丈夫」というものでもありません。Sさんの場合も、話せるようになるまで時間が必要でした。 「しばらくは自分から言うのは嫌でした。“今”に立ち止まってしまって、未来のことなんて考えられないので、『次があるよ』とか言われたりしたらつらいですね。  でも時間が経つと、だんだん話せるようになります。本人から話したときは、聞いてほしいときかもしれないので、『大変だったね』と気持ちに寄り添ってもらえるといいなと思います。私が特に嬉しかったのは、お守りを買ってきてくれたときや、子どものお迎えを手助けしてくれたとき。相手を想ってしてくれた行動は、伝わりますよね」

相手の悲しみに寄り添うことが大切

 基本的に、大切な人を失った経験をされた方と接したときは、悲しみに寄り添い、「食事はとれてる?」「眠れている?」といった声かけをすると、相手に温かみを感じてもらいやすいです。  Sさんは経験がなかったようですが、励ましのために自分の経験を話してくれた場合に「そんなのまだまだ」「私なんて3回も……」といった言い方もNG。悲しみの比べ合いはかえって悲しみが倍増してしまいます。  そもそも子どもという存在を失うことは、さまざまな喪失感覚に襲われます。  親と子どもは全く別物の生体ですが、精神的・感覚的には分身のように感じている人もいます。自分の分身を失ったような悲しみに苦しむことがあります。  また、子どもの存在で未来に期待や夢を描いている人は、その輝かしい将来を奪われることになります。子どもがいるからつらいことも乗り越えられた、ということもあるでしょう。その精神的支えを失い、失望感に駆られてしまいます。 「愛する者を親として守れなかった」という挫折感も、子どもを失うことで体験することがある感覚です。自分の無力さに苦しむことも少なくありません。  さらに、流産・死産といったケースになると、精神的なダメージだけでなく、肉体的な負担も伴います。そして自分の身体に何が起きたのか、自分が原因なのではないかと考え、強い罪悪感にさいなまれてしまいます。  事情を言わない限りは周囲にも気づかれにくいため、その悲しみを当事者だけで抱えがちに。次第に精神的に孤立してしまうこともあるので、その後の家族や周囲のケアが大切です。  まずは、何か特別なことを言おうとするのではなく、相手の悲しみに寄り添うことが大切なのです。 <文/関由佳> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
関由佳
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitterブログ
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