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死にたいとすら思った…突然、顔が動かなくなる「顔面神経まひ」の恐ろしさ

耳鼻科に行き、ステロイド治療を開始

 その後も、症状はどんどん悪化。瞬きの早さに左右差が生じ、コンタクトが着けられなくなり、ついには就寝時には「メパッチ」という角膜保護用テープで無理やり目を閉じなければならないほどに。  1週間後の通院時、現状を神経内科で話すと、耳鼻科で診てもらえることに。実は顔面神経麻痺は耳鼻科の専門領域だったのです。  耳鼻科医いわく、顔面神経麻痺は治療を開始しても1週間程度は症状が悪化し、その後ゆっくりと神経が回復していくそう。大きな音を聞いたときに耳を守るアブミ骨筋神経も麻痺してしまうため、聴覚過敏のような症状が現れることもあるのだと教えてもらいました。  筆者の場合は、まさにこの時がピーク。顔の動きを診断する柳原法では40点中14点でしたが、聴力検査でアブミ骨筋神経の動きを調べてもらうと、少しだけ動いていることが分かり、回復してきているのかもしれないと言われました。  この日から9日間、ステロイド剤を飲むことに。抗ウイルス剤はなくなり、他には血管拡張剤、胃薬、ビタミン剤(B12)が処方されました。筆者はネットで、顔面神経麻痺の治療はステロイド剤の早期投与が大切だと目にしていたので、担当医に発症後すぐに服用できなかった不安を伝えると、「抗ウイルス剤を早期に飲むほうが大事」と言ってもらえ、安堵しました。  なお、顔を温めるのは回復が早まる可能性があるため良いことだと言われましたが、「マッサージは神経が回復してきたときに変なくっつき方をしてしまう恐れがあるので禁止」とのこと。よく食べ、よく眠り、ストレスを感じにくい生活を送るようにと言われました。

ステロイド剤を飲み始めてから現れた変化

ステロイドのおかげか、少し顔のこわばりが解消された

ステロイドのおかげか、少し顔のこわばりが解消された

 ステロイド剤を飲み始めると、心なしか顔のこわばりが少し解消されたような気がしました。  しかし、服薬後の眠気に悩まされたり、食欲が止まらなかったりと副作用のような症状が。左側も麻痺したらどうしよう……という不安にとりつかれ、精神的にも苦しい日々でした。  この時期は聴覚過敏がひどく、玄関のカギを閉める音すら苦痛だったのでノイズキャンセリング機能のあるイヤホンが大活躍。相変わらず、食事のときや笑うときなどには顔が左に引っ張られていましたが、ステロイド剤を飲み始めて3日ほど経つと、右の額に数本シワが寄せられるようになりました。  そして1週間後、麻痺側の神経がどれだけ残っているのかを調べ、予後が分かる「誘発筋電図検査(ENoG)」を受けることに。顔に電気を流すこの検査は、輪ゴムで弾かれているかのような痛みがありました。  担当医によれば、この検査で麻痺側の値が50%以下だと予後が厳しいそうですが、筆者の場合は口元が63%、目元が80%という結果。医師から1か月以内に完治するのではないかと言ってもらえ、病気になってから初めて希望が持てました。
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発症から3週間後、コンタクトを着けられるように
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